日本原燃

2007年6月4日


定例社長記者懇談会挨拶概要


 昨夜、再処理工場の分析建屋内で、試料を分析する装置等を冷却する装置から煙が発生した件で、皆さまにご心配をおかけし、お騒がせしまして誠に申し訳ありません。事実関係は、昨日の20時15分頃、再処理工場の分析建屋2階の分析室で火災警報が鳴ったため、作業員が現場を調査したところ、室内には薄い煙が充満していました。同装置から、煙の発生は既に停止しているように見えましたが、安全措置として同装置の電源を停止した、というものです。21時10分には消防署員によって鎮火が確認されました。
 それでは「耐震計算の入力データ誤りとアクティブ試験の現状」、そして「再処理工場の予備品などの地元発注拡大にむけた動き」について、お話をさせていただきます。
 まず、「耐震計算の入力データ誤りとアクティブ試験の現状」についてです。さる4月18日に「耐震計算の入力データ誤りが過去にあった」ことを公表して以来、私どもは当社の品質保証室と保安監査部の管理職を中心に調査チームを組織し、元請会社である日立製作所に、実際に出向いてヒアリングなどを重ねました。
 その上で徹底した事実関係の把握と、原因の調査、再発防止対策の策定などを行うと同時に、対象装置について耐震計算の再評価を実施しました。
 その結果は、5月11日に報告申し上げた通り、直ちに大きな損傷を生じるような安全性に問題があるものではありませんでしたが、許容応力に対する裕度が小さいもの、あるいは一部で不足しているというものでした。この結果、新しい耐震指針への対応という視点も踏まえ、できるだけ早く強化工事を実施することとし、その申請を同日、国へ行いました。
   今後、国の審査が終了し、国の認可をいただいた上で、入力データ誤りのあった機器の耐震強化を徹底したいと考えています。そして、国の確認をいただいた上で、一歩一歩着実に安全性を確認しながら、使用を再開していく、という方針です。
 また、本件に関係した協力会社が関わった全ての機器と、使用済燃料受入れ・貯蔵建屋内の各機器については、先に耐震計算結果の妥当性を確認しました。続いて、再処理工場のその他の機器についても健全性の確認を行い、安全性に問題のないことをひと通り確認したことなどを、先週28日に国の「六ヶ所再処理施設総点検に関する検討会」で説明しました。同検討会で今月13日に再度、議論される予定と伺っています。
 当社としましては、結果として、入力から出力までのデータを一貫してチェックするという実効的な確認が行えなかったため、入力データ誤りを発見・是正できなかった、ということを事業者として厳粛に受け止めています。
 この反省に立ち、まず、今後同様のことが発生しないよう、品質管理向上の視点から、当社の調達管理・設計管理の改善を図りました。また、本日から二日間にわたり、日立に対する「特別監査」を実施し、調達管理の改善状況を直接把握します。さらには、再処理プロジェクトに係る協力会社の皆さんと一体となり、かねてより取り組んできた品質保証活動や安全文化醸成、双方向コミュニケーションについて、一層の充実・強化を図るよう全力を傾けます。
 また、総点検や再発防止、耐震強化工事などをしっかりと実施、完了した上で、国に安全を確認していただきたいと考えています。
 なお、入力データ誤りがあった機器については、万一の地震の際にも安全上の問題が生じないよう措置を講じるとともに、当面使用しないこととしています。また、監視体制を強化し、毎日1回、目視などによって健全性を確認しています。同時に、青森県内で震度3以上の地震が発生した場合、即時に点検を行うこととしています。
 一方、再処理工場本体については、第3ステップが4月26日に終了して以降、システムを負圧に、しかも一定温度以下に保つことや、排気からの放射性物質の除去や放出の監視など、工場全体を安全・安定した状態に保つ機能を維持しています。
 次に、「再処理工場の予備品などの地元発注拡大にむけた動き」についてです。「地元青森県の産業育成・地域振興に何がしかお役に立ちたい」という願いから、私どもは昨年9月に青森市と六ヶ所村において「メンテナンス見本市」を開催し、「メンテナンス業務とはどんな仕事なのか」、「どんな資材・部品が必要なのか」などを地元企業の皆さまにご覧いただきました。
 その後も、「現場近くで、部品・資材の実物をもう一度しっかりと見たい」、「実物を見ながら具体的な相談のできる機会を作ってほしい」といった声が多数寄せられたことから、実際の再処理工場の中にある倉庫等で保管している、予備品や資機材等の実物を身近にご覧いただく見学会を今年3月に開催し、より細部にわたる相談を承ることができました。
 お蔭さまで、これらを契機として、実際のビジネスに繋がる可能性のある事案が次第に具体化してきており、現時点で、県内企業の17社が参画に向けて意欲を燃やして下さっています。今後、さらに内容を詰め、試作品の製作にトライしてもらい、それを評価するなどした上で、実際のビジネスに繋げることを目指してまいります。また、この他、2社の県内企業が、参画について引き続き勉強や検討を重ねています。
 私どものこうした地道な共生活動は、まだ緒についたばかりです。今後、こうした活動を息長く続けることを通じて、地元企業の皆さまにより多くのビジネス展開が生まれ、幅広い地域産業の活性化に何がしかお役に立ち、さらには地元・青森とサイクル事業とのローカルな相互関係がさらに密度を増し、一層実り多いものとなるよう努めてまいります。

以上

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