日本原燃

2007年4月26日


定例社長記者懇談会挨拶概要


 本日は「耐震計算の入力データ誤り」と「アクティブ試験の進捗状況」、そして「原産年次大会への参加を踏まえた所見」について、お話しします。

 さる18日に公表した、使用済燃料貯蔵施設内のチャンネルボックス切断装置および燃料取扱装置の「設計、及び工事の方法の認可申請」における耐震計算において、入力データに誤りがあった件について、大変ご心配をかけています。
 当該チャンネルボックス切断装置については、その使用を中断するとともに、同装置が設置されているピットを燃料貯蔵プールから隔離し、万一の地震の際にも安全上の問題が生じないよう措置を講じました。同時に、燃料取扱装置についても再評価結果の国による確認がなされるまで、使用しないこととしました。従って、一昨日ご報告したように、国の確認がなされるまでの間、使用済燃料の受け入れについて、自主的に見合わせることとしました。現在、耐震計算や原因調査などについて、全力で取り組んでいます。私どもは、耐震計算の再評価結果やその対応策、再発防止対策などがまとまりましたら、改めて報告したいと考えています。

 一方、アクティブ試験の進捗状況は、これまで第3ステップにおいて、第1・第2ステップで行った「個々の設備」の機能確認、施設の基本的な安全性の確認を踏まえた上で、使用済燃料のせん断と溶解をもう一方の系統に変更し、連続的に試験と運営を進めることにより、各施設を通して性能を確認しつつ、連続運転への習熟を図りました。特に、せん断については、BWR燃料275体のせん断に引き続き、今月に入り8日からPWR燃料44体のせん断を開始、さる15日に完了し、第3ステップで計画していたせん断作業を全て終了しました。また、第3ステップで計画していた溶解から脱硝までの各工程も順次完了し、本日、大気への放出放射能量を確認するための試料採取を行いました。これをもちまして、第3ステップは全て終了しました。
 第3ステップの試験では、技術・技能の向上・習熟と、作業の一つひとつに対して安全確認を徹底する習慣づけを図るよう努めました。これまでを振り返ると、全体的に工場全体の連携プレーが順調に実施できるなど、概ね所期の目的を達成することができたのではないか、と感じています。今後は総点検や再発防止、所要の是正工事などをしっかりと実施、完了した上で、安全上の支障がないことを、第4ステップ移行前に国に確認していただきたいと考えています。なお、第3ステップで計画していた試験の結果は、報告書を今後1カ月程度でまとめた上で、国に提出して評価をいただきたいと考えています。同時に、県・村へ提出する予定です。

 次に「原産年次大会への参加を踏まえた所見」について一言申し上げます。今月9日から、原産年次大会が第40回という節目を迎える中、「原子力立国日本をささえる燃料サイクル」という基調テーマの下、青森市で開催されました。同時にIAEAの設立50周年記念の特別シンポジウムが11日に開催され、核不拡散、原子力の安全確保、国際協力などについて各国の専門家が講演・討議を行いました。
 一方、この日程の間、ウラン国際価格が急速に高騰し、一ポンドあたり百ドルを初めて超える、という記録更新をしました。まさに、世界的な原子力推進などを背景とするウラン価格高騰の大きな流れの中で、ウラン資源をいかに有効に、うまく使っていくか、という熱い議論が、内外約20の国・地域から青森市に集まった約1,500名の専門家によって繰り広げられたことは、非常にタイムリーであり、意義深いことであったと考えています。
 しかも、原子力を巡る幅広い講演、多角的な議論が展開される中で、IAEAのウォーラー事務局次長が、六ヶ所再処理工場にIAEAの査察官が常駐し、保障措置の一環として核物質の流れを24時間体制で監視していることを踏まえ、査察などに対する日本の協力姿勢について「世界のモデルになる」と高く評価されたことなど、支援と励ましの言葉が多数寄せられたことは、身に余る光栄であり、非常に心強いものでありました。同時に、身の引き締まる思いを感じつつ、サイクル事業を預かる私どもとしては、自らの使命を果たすことに向け、決意を新たにしました。
 また、このたびの原産年次大会では、世界から集まった海外の専門家・リーダーと個別に情報交換などを行う機会に恵まれました。特に、アレバ社との間では、先月、GNEP構想の「統合原子燃料取扱センター」への参画に向けて連携を行ったこともあり、最新鋭のプラント建設・運転に携わった日仏両国の技術者による国際協力を礎とし、イコール・パートナーとして一致協力していくことを改めて確認できました。トラブルを含む運転・保守に係る技術情報の交換などの技術協力を行うとともに、六ヶ所再処理工場と、仏・ラアーグの再処理工場との間を横断的にとらえて「姉妹工場」とし、「安全文化・技術の共有化と、両工場の最適化を目指す」という視点で、今後の協力のあり方について、検討を開始することとしました。
 今後当社は、海外から寄せられた「平和利用のモデルに」という期待も踏まえ、グローバルな信頼・協力関係づくりを進めてまいります。同時に、原産年次大会で地域から寄せられた当社への声を大切にし、サイクル事業と地域とのローカルな相互・共生関係を更に実り多いものとしてまいりたいと考えております。

以上

INDEX 一覧へ