日本原燃

2006年4月24日


定例社長記者懇談会挨拶概要


 本日は、アクティブ試験の現在の状況などについて、ご説明いたします。
 アクティブ試験を開始してから3週間が経過しましたが、これまで試験は、せん断・溶解から分離・精製工程まで進んでいます。
 工程ごとに説明しますと、アクティブ試験開始の翌日より、前処理建屋において使用済燃料のせん断を開始し、4月8日までに計8体をせん断・溶解処理しました。そして、せん断機や溶解槽等の運転性能の確認や放出放射能量等のデータの取得を行いました。その際に観測される放出放射能は、当社ホームページで公表している「リアルタイム放射線・放射能監視データ」の主排気筒ガスモニタの測定値(cpmで表示)に、一時的な上昇が見られましたが、敷地周辺でのモニタリングポストやモニタリングステーションでの空間放射線量率の測定値に有意な変動はありませんでした。
 16日からは、溶解液を前処理建屋から分離建屋に移送し、核分裂生成物を分離する性能やウランとプルトニウムをそれぞれのラインに分配する性能を確認する「分離・分配性能確認試験」などを開始しています。
 18日からは、精製建屋において、分離建屋で分配されたウラン溶液とプルトニウム溶液をそれぞれ精製する際の運転機能や効率を確認する「ウラン精製性能確認試験」などを開始しました。
 これからの試験としては、27日から28日にかけて新たに10体の使用済燃料をせん断・溶解する予定です。また、ウラン脱硝の開始は7月以降、ウラン・プルトニウム混合脱硝は8月以降を予定しています。

 アクティブ試験全体を通して、使用済燃料の種類・燃焼度・冷却期間を考慮し、5つのステップを設けてプルトニウムや核分裂生成物の濃度を段階的に増やしながら、「施設の安全機能ならびに機器・設備の性能」、「工場全体の安全機能ならびに運転性能」を確認いたします。
 特に第1ステップおよび第2ステップの終了後にはホールドポイントを設け、溶解性能や核分裂生成物の分離性能、ウラン・プルトニウムの分配性能などに加え、現場の放射線環境の指標である線量当量率や環境への放出放射能量なども評価し、安全性を確認いたします。
 今後ともアクティブ試験においては、何よりも安全を最優先に、一つ一つ慎重に取り組み、また、それらの状況については、ホームページなどを通した日常の情報提供はもとより、このような機会を通しまして、分かりやすくお知らせいたしたいと考えています。

 こうした中で、前処理建屋内の溶解槽の気密室、いわゆるセル内において、硝酸に溶かされずに残る燃料被覆管を洗浄した洗浄水約40リットルが受け皿に漏えいしました。
 この洗浄水には、微量とはいえ放射性物質が含まれていましたが、主排気筒モニタおよびモニタリングポストの値に有意な変動はなく、環境への影響はありませんでした。しかし、多くの皆さまにご心配をおかけしましたことをお詫びいたします。
 また、このたびのトラブルに関しては、報道機関の皆さまから、公表時間が遅いとのご指摘をいただきました。
 本事象につきましては、漏えいした洗浄水は、鉄筋コンクリート製で放射能を閉じ込める機能を持つ気密室、いわゆるセル内に漏れたものであり、予め用意した受け皿より適切に回収し再利用しました。さらに、環境への影響や作業員の被ばく・負傷もなく安全が確保できていることなどから、青森県と六ヶ所村との間で締結した安全協定に基づく「トラブル等対応要領」に則り、B情報として、翌日午後に公表させていただきました。
 このような中、B・C情報については、今後も試験状況の透明性の観点から、「トラブル等対応要領」に則った対応を原則としつつ、社会的な状況等も勘案しながら、事象の概要がある程度まとまり、的確にお知らせできるようになった段階で、適時適切な公表に努めてまいりたいと考えています。
 なお、昨日17時50分頃、再処理工場分離建屋と精製建屋の間のコンクリート製の配管用通路に設置している漏えい液受皿の検知ポットの液位が増えたため、試料を採取して分析した結果、ごく微量の放射性物質などを確認しました。
 本事象による主排気筒モニタおよびモニタリングポストの指示値の変動はなく、環境への影響はありません。詳細については、現在調査中ですが、B情報の可能性もあることから、先程、県・村にご報告し、本日午後、ホームページで公表させていただきます。
 今後とも当社では、再処理事業をはじめ当社事業全般につきまして、地域の皆さまからご理解とご信頼をいただけるよう、強い使命感と緊張感を持ち続け「安全」を一つ一つ積み上げ、それを「安心」につなげていくことができるよう、全力で取り組んでまいりますので、よろしくお願いいたします。


INDEX 一覧へ