日本原燃

平成17年12月22日


定例社長記者懇談会挨拶概要

 本日は、この1年を振り返ってお話をさせていただきたいと思います。
 今年は、当社事業のみならず、わが国とりわけ青森県にとりましても、今後の原子力に関して大きな節目の年であったと感じております。

 当社事業につきましては、昨年12月より実施してまいりましたウラン試験において、各系統における処理能力や特性、安全性に関する機能等について全てを確認することができ、当初の主な目的を達成することができたものと考えております。
 しかしながらこの間、1月にはガラス固化体貯蔵建屋等で崩壊熱の除去解析の解釈誤りが判明し、関連する4施設につきまして迷路板部等の改造工事ならびに設計変更を行うことといたしました。このうち、建設中の「高レベル廃液ガラス固化建屋」および「第1ガラス固化体貯蔵建屋・東棟」につきましては、現在、順調に改造工事が進んでおります。工事終了後、使用前検査を受け、国から保安規定の認可をいただきましたら、ウラン試験の最終段階であります総合確認試験に入ることとしております。
 なお、設工認申請中の「ガラス固化体貯蔵建屋B棟」および「第1ガラス固化体貯蔵建屋・西棟」につきましては、順次、設計変更の補正を行うこととしております。

 6月には、バーナブルポイズン取扱いピットからの微量のプール水の漏えいがあり、県民の皆さまをはじめ多くの方々にご心配をおかけいたしました。本件につきましては、漏えい箇所の特定・補修作業を行うとともに同様の加工箇所を再点検し、他に計画外溶接が無いことを確認いたしました。この間、これらの作業を最優先に行うため、一時見合わせておりました使用済燃料の受入れを9月下旬から再開いたしました。
 当社では、今回のプール水漏えいを踏まえ品質保証体制のさらなる改善を図っているところでございます。

 こうした中で当社では、六ケ所再処理施設の試運転に関する技術支援につきまして、フランスのコジェマ社と技術支援契約を締結しておりますが、操業時期の変更に伴い、先日(20日)、パリにおいて契約期間の延長に関する調印を行ってまいりました。コジェマ社とは、六ケ所再処理施設の操業開始に向けて、今後も良きパートナーとして力を合わせ、安全を第一に、緊張感を持ち続けて取り組んでまいりたいと考えております。

 また、今年は、当社にとりまして新たな事業でありますMOX燃料加工事業が大きく前進した年でありました。
 4月に青森県ならびに六ヶ所村と「MOX燃料加工施設の立地への協力に関する基本協定書」を締結させていただき、現在、平成19年4月着工、24年4月操業開始を目指し、国の安全審査を受けているところでございます。

 濃縮事業におきましては、先月末にRE1−Dを停止したことにより、現状の生産能力は年間450トンSWU/年となりましたが、開発を進めております新型遠心機につきましては、基本設計を終え、現在、性能確認、量産性評価等に取り組んでおり、平成22年度から導入する予定であります。
 このほか、廃棄物管理事業、および埋設事業につきましてもほぼ計画どおり進んでおります。以上が、今年1年間の当社事業の状況でございます。

 一方、わが国の今後の原子力政策につきましては、昨年来、使用済燃料の直接処分も含め、幅広くかつ慎重に議論が進められてまいりましたが、10月に全量再処理を含め、従来の原子燃料サイクル路線を堅持することを柱とした「原子力政策大綱」が閣議決定されました。これによりサイクル事業の意義と位置付けが再確認された訳でございますが、私どもといたしましても責任を持って事業を着実に進めてまいる意を強くした次第でございます。
 また、今年は青森県におきましては、10月にむつ市に中間貯蔵施設の建設が決定し、今月には県内初の原子力発電所となる東通1号機が営業運転を開始するなど、原子力関連事業が大きく前進した年であり、原子力事業に携わる私どもといたしましても大変心強く感じております。

 このような1年でございましたが、来年は私どもにとりましてさらに重要な節目の年、まさに「正念場」になるものと考えております。
 今後とも、地元の方々のご理解とご協力をいただきながら、安全を第一に一歩一歩着実に事業を進めていかなければならないと、改めて気を引き締めている次第でございます。


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