2015年1月27日

定例社長記者懇談会挨拶概要

 本日は、「新規制基準への対応状況」と「全社防災訓練」の2点についてご説明します。

 まず、「新規制基準への対応状況」についてですが、再処理施設の審査会合につきましては、1月は3回開催され、昨年末に提出した重大事故対策の補正書の内容などについてご説明させていただきました。
 重大事故対策5項目のうち、補正が残っている「水素爆発」と「溶媒火災」の対策につきましては、来週、原子力規制委員会へ提出したいと考えております。
 その内容をご紹介しますと、まず1つ目の「水素爆発」の対策ですが、これは、万一、放射性物質を含んだ溶液の貯槽などに圧縮空気を送ることができなくなった場合、放射線分解が継続して貯槽内に水素が蓄積し、爆発を起こす可能性があることから、可搬式のエンジン付コンプレッサーにより、直接、圧縮空気を送り込み、水素を排出して爆発の発生を防止するものです。
 2つ目は、「溶媒火災」の対策であります。再処理工場では、せん断し、溶解した使用済燃料からウランやプルトニウムを抽出するためにリン酸トリブチルなどの有機溶媒を使用します。万一、この有機溶媒が配管からセル内に漏えいした場合、何らかの原因で温度が上昇し、火災になる前に窒素濃縮供給装置を使って酸素濃度を低下させ、火災の発生を防止するものです。
 今回の補正では、こうした万一の重大事故に対する「発生防止」、「拡大防止」、「影響緩和」などの安全対策について、申請書の記載に追加・充実を図ります。

 一方、MOX燃料加工施設につきましても、今月は再処理と合同で2回審査会合が開催され、昨年末に提出した設計基準の補正書の内容についてご説明させていただきました。
 なお、MOXの重大事故対策は、「臨界」と「閉じ込め」の対策の2項目であり、このうち、「臨界」の対策については、再処理と同様、来週、補正書を提出する予定です。残りの「閉じ込め」の対策についても、今後、提出の準備を進めてまいります。
 詳細につきましては、原子力規制委員会へ提出後、皆さまにお知らせしたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

 また、今月は耐震やウラン濃縮工場の審査会合も開催されております。このうち、耐震の審査会合でご質問いただきました出戸西方断層南端部の調査については、昨年3月の審査会合でのご意見を踏まえ、これまで追加で30本程度のボーリングを行ってきており、残り1本のボーリングを行っている最中に、穴の内側の一部が崩れて時間を要しておりますが、終了次第、反射法地震探査の解析も含めて、今後の審査会合でご説明させていただきたいと考えております。
 引き続き、各事業の審査に、全力で取り組んでまいります。

 次に、「全社防災訓練」について申し上げます。
 先週、当社の重大事故対策の設備などをご案内させていただきましたが、私どもとしては、こうしたハード面だけではなく、ソフト面の対策としての訓練も重要であると考えており、来る2月23日に、全社をあげた防災訓練を実施することといたしました。この訓練は2012年度以降、毎年厳冬期に実施しており、今回が3回目となります。
 具体的には、当社の4つの施設-再処理工場、高レベル放射性廃棄物貯蔵管理施設、ウラン濃縮工場、低レベル放射性廃棄物埋設施設-において、外部電源の喪失をはじめとする様々な事故が同時発生することを想定した訓練を行うものです。
 この訓練では、各事業部におけるそれぞれの事故収束に向けた訓練に加え、各事業部の連携を確認し、全社としての迅速な対応が確実に実施できるかどうかを総合的に確認することとしております。
 当社では、これまでも厳冬期や夜間などに各種訓練を実施してきておりますが、今後も様々な状況を想定した訓練を繰り返し実施し、万が一の際にも確実に対応できるようにしたいと考えております。

 最後に、今年最初の記者懇談会ですので、一言申し上げたいと思います。
 既にご案内のとおり、昨年4月に閣議決定された「エネルギー基本計画」では、原子燃料サイクルを「推進する」と明確化されました。
 この大前提である安全の確立に向けて、引き続き、新規制基準への対応に全力を尽くしていくこと、これが最大の経営課題であります。
 このような安全性向上に向けた取り組みはもとより、サイクルに関する技術の向上を目指す努力も引き続き進めたいと考えております。例えば、当社のウラン濃縮事業では、世界最高水準の新型遠心分離機を2012年3月から順次導入し、安定した生産運転を継続しております。これ以外にも、現在、新型ガラス溶融炉の開発に向けた試験を実施しており、流下性が大きく向上するなど、大変順調に試験が進んでおります。

 当社といたしましては、我が国のエネルギー安全保障の一翼を担うという使命のもとで、全総力を結集し、原子燃料サイクルの確立に向け前進する1年にしたいと考えております。
 青森県政記者会の皆さまには、本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

 本日、私からは以上です。