2014年12月25日

定例社長記者懇談会挨拶概要

 本日は、「新規制基準への対応状況」と、今年最後の懇談会となりますので、この1年について振り返らせていただきたいと思います。

 まず、「新規制基準への対応状況」について申し上げます。
 既にご案内のとおり、今月8日の再処理施設の審査会合において、当社が希望する再処理施設の設計基準や重大事故に関する今後の審査スケジュールなどについてご説明いたしました。この内容は、当社が最大限努力することを前提とするものであり、原子力規制庁からは厳しいご意見やご質問をいただきましたが、可能な限り対応していただけるということで、早速15日に審査会合を開催していただきました。設計基準はこれまで2度にわたり補正を行いましたが、その内容について当社として一通り説明をさせていただくことができ、ありがたく思っております。

 また、明日は、再処理施設の重大事故対策に関する一部補正書の提出を予定しております。
 具体的には、これまでの審査会合などでのご指摘等を踏まえ、重大事故対策5項目のうち3項目について補正いたします。
 3項目の内容をそれぞれご紹介しますと、まず1つ目は、万一、高レベル廃液を貯蔵する設備の冷却機能が失われ、高レベル廃液が沸騰・蒸発した結果、放射性物質が放出される可能性がある「蒸発乾固」への対策です。
 2つ目は、万一、使用済燃料を硝酸溶液で溶かす溶解槽において、硝酸の濃度が低下して、切断した燃料が溶け切らないことなどにより発生する可能性がある「臨界事故」への対策です。
 3つ目は、万一、使用済燃料貯蔵プールの冷却機能が失われ、プールの水が減少することによって発生する可能性がある「使用済燃料の損傷」に対する対策です。
 今回の補正では、こうした重大事故の発生防止、拡大防止、影響緩和などに必要となる設備や対策について、申請書の記載に追加・充実を図りました。
 なお、残りの「水素爆発」、「溶媒火災」につきましては、来年1月末に補正書を提出すべく、現在準備を進めているところであります。
 また、明日は、MOX燃料加工施設につきましても一部補正書を提出する予定です。
 具体的には、再処理施設のこれまでの補正と同様、設計基準に関する記載内容の追加・充実を図るもので、重大事故対策については再処理施設と同様、来年1月末に補正書を提出すべく、準備を進めております。
 詳細につきましては、明日、原子力規制委員会へ提出後、皆さまにお知らせしたいと考えておりますのでよろしくお願いいたします。

 一方、耐震については、今月初めに原子力規制委員会による出戸西方断層南端付近や敷地内のトレンチなどの現地調査が行われました。2日間にわたり現場をご確認いただいた結果、私どもとしては概ねご理解をいただけたのではないかと思いますが、引き続き、残りのボーリングや反射法地震探査などの最終的な取りまとめが終わり次第、審査会合でご説明させていただきたいと考えております。

 なお、昨日お知らせしておりますが、当社と東北電力株式会社、東京電力株式会社、リサイクル燃料貯蔵株式会社の4社共同で行っている下北半島東部の地質構造調査に関する第三者委員会が今月9日に開催され、海上ボーリングの結果、大陸棚外縁部の各地層の年代評価は妥当であるとのコメントをいただきました。
 これにより、既に4事業者が共同で実施した海上音波探査の調査結果とあわせて、大陸棚外縁断層が「将来活動する可能性のある断層等」ではないというこれまでの事業者の評価は変わるものではないと考えております。

 いずれにしても、当社としては、引き続き今後の審査に向けて準備に万全を期してまいりたいと考えております。

 最後に、今年1年について振り返らせていただきます。
 ご案内のとおり、今年は4月にエネルギー基本計画が閣議決定され、私どもが進めている原子燃料サイクルについてもこれを推進すると明記されました。ウラン資源の有効利用、廃棄物の減容、環境保全の観点から極めて大きな意義があることであります。
 そして、何よりも新規制基準への対応、また、それに伴う再処理工場のしゅん工延期など、私どもにとっては大きな動きのある1年でありました。
 当社にとっての当面の最大の課題は、新規制基準への対応でありますが、同時に、現在の設備の安全をしっかり守っていくことがベースであることは申すまでもありません。
 私は、引き続き、そうした意味での新規制基準をはじめとする「安全」への対応に、先頭に立って、これまで以上に積極的に取り組んでまいる所存です。そして、世界一安全な原子燃料サイクル施設をつくり上げるという気概を持って進めてまいります。

 この1年、皆さまには大変お世話になり、ありがとうございました。来年もどうぞよろしくお願いいたします。

 本日、私からは以上です。