2013年7月31日

定例社長記者懇談会挨拶概要

 本日は、「再処理工場におけるガラス固化試験の結果」と、「核燃料施設等に係る新規制基準の骨子案」、「下北半島東部の地質構造調査の現状」の3点についてご説明させていただきます。

 まず、「再処理工場におけるガラス固化試験の結果」について申し上げます。
 既にお知らせしましたとおり、ガラス固化試験の結果につきましては、先週26日に原子力規制委員会へ安定運転確認や性能確認が順調に終了したといった内容の報告書を提出するとともに、使用前検査の前に実施すべき試験項目はすべて終了したことから、再度、使用前検査の受検についてお願いいたしました。しかし、規制庁からはこれまでと同様のお話でありました。
 私どもはかねてから、ガラス固化設備に関する使用前検査については、既に設計通り施工されているかについての確認は終了しており、設備の処理能力に関する検査を残すのみであることから、是非、受検させていただきたいと申し上げてまいりました。この思いは現時点でも変わっておりません。
 さらに、ガラス固化試験を通じた課題克服のための様々な取り組みにより、再処理工場の操業に向けた技術は確立できていると確信している次第です。
 しかし、その一方で新基準の骨子案が提示され、12月の公布・施行へと大きく進みはじめた中で、事業者としてはこれにしっかりと取り組むこともまた大きな責務であります。
 これらの状況を考えますと、10月という再処理工場のしゅん工時期につきましては、結果として延ばさざるを得ないと考えております。新たな工程については、これから検討してまいります。
 今後は、新基準の12月公布・施行後、速やかに申請できるよう、準備に万全を期してまいる所存であります。

 次に、「核燃料施設等に係る新規制基準の骨子案」について申し上げます。
 核燃料施設等に係る新規制基準は、これまで14回の検討チーム会合を経て骨子案が取りまとめられ、先週25日からパブリックコメントの募集が始まりました。
 このたび示されました内容について申し上げますと、サイクル施設と発電炉の違いを考慮し、例えば、重大事故対策では事故への進展までの時間的余裕を踏まえ、サイクル施設には恒久設備ではなく、可搬式設備で対応することを基本とするなど、概ね安全性への影響の程度に応じた要求内容・レベルになっていると認識しております。
 なお、要求内容を達成する手段につきましては、特定の設備の仕様だけに限定することなく、事業者の創意工夫による安全性向上の取り組みが活かせるような形にしていただきたいと考えております。
 当社としては、このような観点から、引き続き骨子案の内容を精査した上で、意見を提出したいと考えております。
 いずれにいたしましても、新規制基準が公布・施行されれば、しっかりと対応してまいる所存であります。
 当社は、福島第一原子力発電所の事故直後から、代替電源として3台の電源車を配備するなど、様々な安全対策を講じてまいりました。
 また、7月に公布・施行された発電炉に関する新規制基準も踏まえて、既に大規模な火災の消火や放射性物質の拡散を抑える手段として、石油コンビナートでの消火活動にも使用される多量の放水能力を有する泡放水砲なども発注いたしております。
 いずれにしても、今回の骨子案の内容を踏まえて、対応可能なものについては12月を待たずに準備を進めてまいりたいと考えております。

 最後に、「下北半島東部の地質構造調査の現状」について申し上げます。
 既にご案内のとおり、現在、当社は東北電力株式会社、東京電力株式会社、リサイクル燃料貯蔵株式会社と4社共同で、下北半島東部の地質構造に関する調査を実施しております。
 海上音波探査等の調査は既に終了しており、現在、データの整理・とりまとめを行っているところですが、調査結果の評価にあたりましては、先週お知らせしたとおり、地殻構造や海洋地質などの専門家から構成される第三者委員会で、客観的な立場から幅広くご意見やご助言等をいただきながら進めているところであります。
 また、この他にも現在当社では、既にお知らせしましたとおり、敷地周辺の出戸西方断層や七戸西方断層に関する調査、敷地内におけるトレンチ調査などを実施し、更なるデータの拡充を行っているところです。
 これらの調査結果につきましては、新規制基準の公布・施行までにはとりまとめ、しっかりと評価してまいりたいと考えております。