2013年5月31日

定例社長記者懇談会挨拶概要

 本日は、「ガラス溶融炉A系列におけるガラス固化試験の結果」と「原子力の新規制基準等に関するパブリックコメントの提出」の2点についてご説明させていただきます。

 まず、「ガラス溶融炉A系列におけるガラス固化試験の結果」について申し上げます。
 既にお知らせしましたとおり、A系のガラス固化試験につきましては、今月26日に順調に終了し、現在は溶融炉内のガラスの抜き出し作業を行っているところであります。
 この試験結果については、お手許の資料1のとおりですが、実廃液20バッチによる安定運転確認の実績については、1ページ右下のグラフのとおり、ガラス温度や炉の上部の気相温度、炉底部の温度が管理目標の範囲内となるなど、安定した運転が維持できることを確認いたしました。
 また、性能確認につきましては、2ページ右下のグラフのとおり、実廃液5バッチの運転の中で、設計上の最大処理能力である1時間あたり約70Lの廃液供給量で運転ができること、そして実際には76Lで運転できることを確認いたしました。
 今後は、炉内のガラスを抜き出した後、炉内観察を行うとともに、試験で得られた運転データを詳細に評価し、1月初めに終了したB系列の試験結果とあわせて報告書を取りまとめ、国へ提出したいと考えております。
 なお、今回、A系のガラス固化試験が終了したことにより、ガラス固化設備の使用前検査の前に実施すべき項目はすべて終了いたしました。
 当社としては、これまでも申し上げてまいりましたが、新規制基準が公布・施行されれば、しっかりと対応してまいる所存ですが、ガラス固化設備に関する使用前検査につきましては、既に認可どおり工事が施工されているかについての確認は完了しており、今後は安全に直接関係する機能の確認ではなく、設備の処理能力に関する性能検査を残すのみであることから、是非、粛々と受検させていただきたいと考えております。

 次に、「原子力新規制基準等に関するパブリックコメントの提出」について申し上げます。
 先般、原子力の新規制基準についてパブリックコメントが募集され、当社としても耐震基準の審査ガイド案などに対して意見を提出いたしました。
 具体的には、提示された審査ガイド案のうち、「敷地内及び敷地周辺の地質・地質構造調査に係る審査ガイド(案)」については、あまりにも変動地形学的調査に偏向した内容になっているということであります。
 例えば①でありますが、ガイド案では、「弾性波探査によって断層が確認されない場合でも、これを合理的に説明する適切な地形発達過程について検討する必要がある」。また、「海底に顕著な変動地形が認められる場合にも、それを合理的に説明できる活断層を想定する必要がある」と記載されています。
 これは、様々な調査を行い、活断層がないと確認されたにもかかわらず、特定地域の地形が変動していればそれを活断層だと想定して評価を求めたり、その地形がどのように形成されたかという、いわば学術的な要素を事業者に対して求めるものとなっております。
 変動地形学は立派な学問であると考えますが、それはあくまでも地形変動を見るものであり、その下に断層があるかどうかについては、様々な調査を実施し判断すべきと考えます。
 すなわち、私どもといたしましては、変動地形学的調査に偏ることなく、地表地質調査や地質構造調査、反射法地震探査や重力探査といった地球物理学的調査なども合わせて総合的に評価すべきであると考える次第であります。以上の視点から、資料2の内容のコメントを提出した次第です。
 今後は、一部の先生のご意見だけではなく、多様な分野の専門家のご意見を聞いていただき、規制基準等に反映するとともに事業者の意見にもしっかりと耳を傾けていただきたいと強く要望する次第であります。