2012年12月27日

定例社長記者懇談会挨拶概要

 本日は、「再処理工場におけるガラス固化試験の状況」と、今年最後の懇談会となりますので、この1年について振り返らせていただきたいと思います。
 まず、再処理工場におけるガラス固化試験についてですが、既にお知らせしましたとおり、今月7日からB系のガラス溶融炉において、アクティブ試験の最後の試験であるガラス固化試験を開始いたしました。
 これまでに、ガラス溶融炉の安定した運転が維持できることを確認する「安定運転確認」のため、実廃液25バッチの運転を実施しましたが、この25日までにすべて終了いたしました。
 具体的には、この間、3バッチの洗浄運転を挟んで、連続10バッチずつの運転を実施しましたが、ガラス温度や炉の上部の気相温度、そして炉底部の温度につきましても目標の範囲内で管理された運転ができること、また、定期的な洗浄運転などにより、白金族元素の沈降・堆積を抑えて運転ができることを確認した次第であります。
 なお、「安定運転確認」の最後の流下時に、白金族元素の堆積兆候などは見られないものの、流下性が低下したことから、次の「性能確認」試験に万全を期す観点から、運転操作の一環として、本日朝、炉内に直棒を入れて流下性を回復させました。
 今後は、洗浄運転を実施したのち、ガラス溶融炉の最大処理能力である1時間あたり70Lの廃液供給量で運転ができることを確認する「性能確認」試験を開始いたします。この「性能確認」では、実廃液5バッチの運転を行うこととしております。
 今回の試験の評価結果につきましては、まとまり次第、皆さまにご説明させていただきたいと考えておりますが、いずれにいたしましても、引き続き安全を最優先に、あせらず慎重に取り組んでまいります。

 次に、今年1年について振り返らせていただきたいと思います。
 ご案内のとおり、今年はエネルギー政策に関して様々な議論が行われ、私どもの再処理事業についても、その存在が問われる1年でありました。
 9月にとりまとめられた「革新的エネルギー・環境戦略」の議論の過程でも、六ヶ所再処理工場そのものが見直しの対象となり、地元が強く反発するとともに、米国そして英、仏からも強い懸念が表明され、結果として、「核燃料サイクルについては、中長期的にぶれずに着実に推進する」、そして、「引き続き従来の方針に従い再処理事業に取り組む」となったことは、今後とも極めて重く受け止めるべきと考えております。
 また、これまで繰り返し申し上げている通り、資源のほとんどを海外に依存しているわが国にとって、原子力発電は引き続き大切なエネルギー源であり、安全確保を大前提に、今後も一定の役割を果たすとともに、サイクルについても、これをしっかりと堅持すべきと考えます。
 昨日、新政権が発足した訳ですが、新政権におかれましても、立地地域の思いをしっかりと受け止めていただくとともに、是非とも現実を踏まえたエネルギー政策の構築を強く期待したいと思います。

 一方、この1年間の当社事業について主な動きを申し上げますと、再処理事業については、9月にしゅん工時期を1年延期させていただきました。
 そして、アクティブ試験の最終段階であるガラス固化試験を12月から開始し、その状況については先ほども申し上げましたとおりでありますが、今後とも、来年10月のしゅん工に向けてしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
 また、MOX燃料加工事業については、先月、現場をご案内させていただいた通り、4月に建設工事を再開し、10月には岩盤まで掘り下げる掘削工事が終了、岩盤検査も最後まで残っておりました洞道部分について、今週25日に終了いたしました。今後、冬季期間はお休みし、来春から建設工事を再開いたします。
 濃縮事業につきましても、3月から新型遠心機による初期導入分の生産運転を開始いたしました。後半分についても、本日には据付けが完了する予定であり、来年2月からは慣らし運転を開始する予定です。
 来年は再処理工場のしゅん工をはじめ、原子燃料サイクル事業の確立に向けて、さらに大きく前進する年にしたいと考えております。と同時に、何よりも安全第一であります。安全を最優先に全社一丸となって取り組んでまいる所存であります。
 この1年、皆さまには大変お世話になり、ありがとうございました。来年もまた是非よろしくお願いします。