2012年9月19日

臨時社長記者懇談会挨拶概要

 本日は、再処理工場のしゅん工時期の変更についてご説明させていただきます。
 本日開催した取締役会において、再処理工場のしゅん工時期をこれまでの「本年10月」から「2013年10月」へ変更することを決定し、その内容について先ほど佐々木副知事ならびに西谷議長にご報告いたしました。
 それでは、工程変更の内容についてご説明させていただきます。お手許の資料「ガラス溶融炉における事前確認試験結果としゅん工時期について」をご覧いただきたいと思います。
 まず、「Ⅰ.ガラス溶融炉における事前確認試験結果」についてご説明させていただきます。
 ガラス溶融炉におけるアクティブ試験につきましては、「1.はじめに」に記載のとおり、2008年10月のガラスの流下性低下事象により中断いたしました。このため、約2年間かけて東海村にある実規模試験施設いわゆるKMOCで模擬廃液を使って徹底した検証を行いました。
 その結果、「2.ガラス溶融炉等の設備改善」に示しましたとおり、温度計の追加設置などの設備改善を講じるとともに、運転方法の改善に取り組みました。と同時に、「3.ガラス溶融炉の試験ステップ」につきましては、KMOCで確認した運転方法が実機でも適用できることを確認するため、まず、事前確認試験を実施し、その後、ガラス固化試験へと段階的に行うことといたしました。
 2ページをご覧ください。この事前確認試験につきましては、4.のとおり、6月18日からB系において模擬廃液および実廃液を用いた試験を、そして8月25日からはA系において模擬廃液を用いた試験を実施し、8月31日までに、いずれの試験も順調に終了いたしました。
 その結果は、5.の(2)のグラフのとおりです。このグラフは、前回、すなわち第5ステップにおける2008年10月の流下性低下事象の時と、今回のB系事前確認試験の実廃液の時の結果を比較しておりますが、白金族元素の沈降、堆積を示す「青色の折れ線グラフ」や、流下速度を示す「黄色と青色の棒グラフ」をご覧いただくとおわかりのとおり、いずれも前回と比較して大幅に改善しております。
 また、ガラス温度の変化をみても、管理目標の範囲内で安定した維持ができており、安定運転に係る運転条件についても、しっかりと確認することができました。
 以上のことから、白金族元素の沈降、堆積をいかに抑えるかという技術的課題はクリアすることができ、次のステップである使用前検査の受検に向けてのガラス固化試験の見通しがしっかりと得られたものと考えております。
 次に、3ページをご覧ください。これらの取り組み状況を踏まえ、今後の工程について精査した結果を記載しております。まず、しゅん工時期については、今後のガラス固化試験や法定点検などの作業全体を含めて精査した結果、2013年10月といたしました。
 次に、今後のしゅん工までの具体的な進め方についてご説明いたします。先ほど申し上げましたとおり、事前確認試験は先月末までに終了しており、現在は、ガラス溶融炉B系における炉内確認が終了し、炉内残留物のはつり作業の準備をしているところです。終了後は、引き続きA系についても炉内確認を行い、必要に応じてはつり作業を実施してまいります。
 また、炉内確認と並行して、毎年1回、夏場に実施しております非常用ディーゼル発電機などの工場全体の電気設備や機械設備の点検を行うとともに、この期間にあわせてガラス溶融炉周りの設備などの点検も実施してまいります。その後、年内を目途に、B系におけるガラス固化試験に着手したいと考えております。
 終了後は、年1回の法定点検、これは3ヶ月程度かかりますが、それを行った後、A系におけるガラス固化試験を実施し、ガラス固化設備に関する国の使用前検査を受検したいと思います。ガラス固化試験B系・A系と国の使用前検査にあわせて6ヶ月程度かかるのではないかと思います。
 その後、最終的なアクティブ試験全体の試験結果を取りまとめた報告書を国へ提出し、審議をいただき、しゅん工ということになります。この国の審議につきましては、一定期間設定させていただきました。2ヶ月程度を織り込んでおりますが、ガラス固化設備に関する国の使用前検査の受検を社内的な工程管理上の大きな目標として、2013年8月までとしたいと考えております。
 震災による10ヶ月間の試験の中断があったとはいえ、結果としてしゅん工時期を変更することになり、県民の皆さまには大変申し訳なく思っております。
 今後行うガラス固化試験につきましては、先ほどもご説明したとおり、事前確認試験の結果、しっかりとした見通しを得ることができました。
 したがいまして、私どもとしては、2013年10月のしゅん工に向けて、安全を最優先に全社を挙げて着実に取り組んでまいる所存であります。是非、ご理解を賜りたいと思います。