日本原燃
2012年3月30日

 

定例社長記者懇談会挨拶概要



 はじめに、「ガラス溶融炉B系列における流下性回復に向けた作業の状況」についてご説明します。
 既にお知らせしておりますが、ガラスの流下性確認のため、今月4日から溶融炉の再熱上げを行った後、21日よりガラスの流下を開始したところ、順調に作業が進み、25日に抜き出し作業を終了しております。
 流下にあたりましては、あらかじめ直棒を改良し、使い方などについて検討を重ねるとともに、溶融炉を模擬した装置を用いてテストを行った後、実施いたしました。そうした対応も順調なガラスの抜き出しに繋がったものと考えております。
 今回はガラス固化体12本分の抜き出し作業で、流下初期にはレンガが剥離した小片と思われるものが確認されましたが、2本目以降はほとんど確認されず、安定的な流下ができていることからも、炉内のガラスはほぼ抜き出すことができたのではないかと考えております。
 現在は溶融炉の冷却を行っているところですが、来月上旬にはカメラで炉内の状況を確認し、ガラスの残留物等があればハツリ作業を行うこととしております。
 また、今後は濃縮缶や蒸発缶などに関わる圧力容器の法定点検を順次実施するとともに、この機会にB系の事前確認試験後に予定していた安全蒸気ボイラの法定点検などについても前倒しで実施する予定です。
 一方、流下性低下の原因については、抜き出した後の炉内の状況を確認するとともに、今回の流下状況や異物除去作業により採取したサンプルの分析結果とあわせて評価してまいります。なお、分析は既に終了し、先月も申し上げたとおり、流下ノズル部の一部のサンプルからは溶融炉内のガラスと接しているレンガの代表的な成分が確認された一方、結晶化ガラスや天井レンガなどの成分は確認されておりません。
 このように、まずは炉内の状況を確認しながら流下性低下の原因をしっかりと評価し、一歩一歩着実に進めてまいりたいと考えております。
 また、このたびの一連の作業で得られた経験や知見を今後に活かすとともに、引き続き安全を最優先に慎重に作業を進めてまいる所存です。

 次に、昨日、「新大綱策定会議」が開催されましたので一言申し上げたいと思います。
 席上、三村知事からは、原子燃料サイクル事業は青森県民の理解があったからこそ進められていることや、いずれのシナリオを進めるにしても地域のご理解・ご協力は不可欠であり、楽観的な評価は避けるべきといったご発言がありました。
 これまでも繰り返し申し上げておりますが、私どもの事業は青森県民の皆さまのご理解によって、全国の原子力発電所からの使用済燃料の受け入れや、低レベル放射性廃棄物の受け入れ・処分、さらには、海外からの返還高レベル放射性廃棄物の一時的な貯蔵が可能となり、原子力発電による電力の安定供給がなされてまいりました。
 そうした現実を改めてしっかりと受け止めていただきたいと思います。また、地元の皆さまからのご理解とご信頼は一朝一夕に得られるものではなく、昭和59年に立地のお願いをさせていただいて以来、四半世紀の長きにわたる積み重ねにより築き上げられたものであることもご認識いただきたいと考えております。
 昨日の会議では、今後、政策選択肢のシナリオを評価する際のポイントとして、8つの評価項目が示されました。その中には、「政策変更に伴う課題」として、使用済燃料を発電所から搬出できなくなるリスクや新規の中間貯蔵の立地などのほか、「エネルギー安全保障」、「社会受容性」、「国際関係の観点」なども示されております。
 これらは、現実的で地に足の着いた議論をする観点からきわめて重要な項目と考えます。
 評価項目に示されたとおり、仮に政策変更することによって地元の信頼を大きく失うことになった場合、わが国のエネルギー政策が暗礁に乗り上げる可能性があるという現実を踏まえるべきと考えます。
 今後の議論にあたりましては、是非とも立地地域の皆さまの思いをしっかりと受け止めていただき、現実を踏まえ、そして中長期的な視点に立った冷静な議論をお願いしたいと思います。

 最後になりますが、入社式の開催についてお知らせします。平成24年度の入社式は4月2日に行う予定で、新年度は91名の新入社員を迎えることとなりました。これにより、社員数は2,515名となり、このうち約6割が青森県内出身者となります。
 私どもとしては、地域に根ざした企業として、こうした人材確保の取り組みが青森県の雇用環境に少しでもお役にたてればと考えております。

 
以上

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