日本原燃
2011年10月28日

 

定例社長記者懇談会挨拶概要



 はじめに、「再処理工場における現在の取組み状況」についてご説明させていただきます。
 現在、私どもでは、当社の緊急安全対策について青森県原子力安全対策検証委員会でご議論をいただいているこの期間を利用し、ガラス溶融炉の固化セル内におけるガラス原料供給設備、固化体取扱い装置など機器類の個別点検を実施しております。
 機器類の点検については、既に一度実施しておりますが、今後の試験をより確実に実施するため、さらに念には念を入れて今月から再度慎重に点検を行っているところであります。
 また、訓練につきましては、約400名の運転員全員を対象に、全交流電源喪失を想定した夜間訓練をこれまで順次実施してまいりましたが、今月は2回実施し、運転員全員の訓練が完了いたしました。
 次に、既にお知らせしましたが、今月14日には再処理事業部内の組織改正を行いました。
 この目的は、これまでの経験を踏まえ、再処理工場の運転部門と保修部門を統合し、運用の一体化を図るとともに、処理工程ごとに管理体制を分け、ミニ工場化することで、運転と保修の連携強化や責任体制をより一層明確化するものであります。
 結果として、今回の組織改正は、かなり大幅なものとなりましたので、改正の趣旨をしっかりと徹底させ、一層の現場力、技術力の向上に努めてまいりたいと考えております。

 さて、皆さまご案内のとおり、今月に入り原子燃料サイクルを含めた原子力に関する議論が本格化しております。
 そうした中、国に対して、19日に青森県議会の樋議長がサイクル政策を含む原子力政策の早期提示を求める意見書を提出され、また、26日には六ヶ所村の古川村長と橋本村議会議長が原子燃料サイクル事業の着実な推進などに関する要望書を提出されました。
 そして、一昨日の原子力委員会における「新大綱策定会議」では、三村知事が出席され、原子力を含めたベストミックスの重要性をはじめ、サイクル事業について青森県が国のエネルギー政策・原子力政策に沿う重要な施設であることを確認した上で受け入れるとした経緯や、県民の協力のもとに進められてきたことなどについて発言をされました。あわせて、原子力発電所が立地する14道県の知事で構成される原子力発電関係団体協議会会長の立場として、立地地域における実状などを十分に踏まえて、賢明かつ現実的な議論を強く要請されました。
 このように、立地地域の皆さまの思いは大変重いものがあり、今後のサイクル政策の議論にあたっては、こうした思いをしっかりと受け止めていただきたいと思います。
 青森県民の皆さまが、これまで25年以上にわたり国のエネルギー政策に協力してきたことや、県民の皆さまのご理解があって初めて全国の発電所から使用済燃料を受入れることができ、そして原子力発電によって電力の安定供給が確保されているということを、今後の議論の中でしっかりと踏まえていただくことを強く期待しております。
 一方、原子力発電コストの一部である核燃料サイクルコストについても試算結果が示され、前回の政策大綱で検討された時と同様に、直接処分モデルよりも実際の事業を考慮した現状モデルの方がわずかながら高いという結果となりました。
 しかしながら、そういう状況にあっても私は、「資源確保」と「環境保全」の面から、サイクル事業の必要性、その意義はいささかも変わるものではないと考えております。
 サイクル政策については、前回も経済性のほか、将来にわたるエネルギーセキュリティの確保、環境適合性など多くの視点から議論され、その結果として再処理路線を基本方針としたと認識しております。
 すでに発生している使用済燃料は約1万7千トンあり、今後、原子力がどの程度の役割を担うかにもよりますが、発電を続ける限り使用済燃料は出てまいります。
 これらの燃料をどうするのか。資源をほとんど持たない我が国にとって、これはしっかりと再処理し、資源として有効活用する必要があると考えております。
 また、環境保全の面からも直接処分は極めて難しい選択肢といえます。と申しますのも、我が国では直接処分について現時点で技術的知見が少ないということ、また、プルトニウムを含む廃棄物をそのまま捨てることになるため、毒性が高く発熱量も大きいことから放射能の影響が低下するまでに極めて長い時間がかかるということなど、考慮すべき多くの課題があるからであります。
 加えて、いずれの場合でも最終処分場の立地が必要な訳ですが、再処理してガラス固化体として処分する場合に比べて、直接処分の場合は相当に広い面積が必要ということになります。
 また、新大綱策定会議の席上、三村知事はこれまで進めていた政策を変更するとなると、今後実際に支出が必要となる費用は認識しておく必要があるとも発言されております。
 私としても、前回の策定会議と同様に政策変更コストについても是非算出していただき、比較検討をお願いしたいと考えております。
 今後も議論が行われてまいりますが、是非とも立地地域の皆さまの思いをしっかりと受け止めていただき、現実を踏まえ、そして中長期的な視点に立った冷静な議論をお願いしたいと考えております。

 
以上

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