日本原燃
2011年6月28日

 

定例社長記者懇談会挨拶概要



 本日は、「再処理工場における緊急安全対策への取り組み状況」と、「今夏の節電対策」、「平成22年度決算」につきましてご説明させていただきます。
 最初に、「再処理工場における緊急安全対策への取り組み状況」でありますが、福島第一原子力発電所の事故を踏まえ、全交流電源喪失という事象に対する緊急安全対策につきましては、今月15日に国から「適切」とのご評価をいただきました。
 また、万が一、厳しい事故が起こった場合に、事象の拡大を防ぐという観点から、「原子力発電所におけるシビアアクシデントへの対応と同様の措置」に対する指示につきましても、先週22日に報告書を提出し、翌23日に国の立ち入り検査が行われました。
 これらの対策を通して、私が最も重視しておりますことは、手順書を作成したり、資機材を整備したから終わったと安心するのではなく、取りまとめた対策が、万万が一の場合に、本当に実行できるのかどうかを常に確認していくことであります。
 例えば、水素滞留防止機能を維持するためのエンジン付きの空気コンプレッサを今月7日に配備を完了いたしましたが、問題は、実際に運転員が速やかに起動させることができるかということであります。このため、当直者全員ができるように、今までに120名ほどの運転員が、空気コンプレッサと空気貯槽を接続するホースのつなぎ込みと起動の訓練を行ってきております。
 また、電源車による給電や、消防車などによる注水の訓練につきましても、4月21日に実施いたしましたが、今後の課題は、夜間や冬場に、本当に手順通りの作業ができるかどうかという点にあります。このため、まずは、夜間訓練を来月か遅くとも8月には、また、厳しい冬場での訓練も実施したいと考えております。
 さらには、毎年「総合防災訓練」を実施しておりますが、全交流電源喪失に加えまして、いくつかの事象が複合して起こった場合などを考え、電源車を迅速につなぎ込むことができるのか、また、こうした対応で混乱している中で、社内外への通報連絡や環境モニタリングなどを確実に行えるのかどうか、テーマを設けまして年度内にはこうした訓練も実施していきたいと考えております。
 いずれにいたしましても、いかなる状況でも迅速かつ確実に対応ができるように、繰り返し繰り返し訓練を実施していくことが大切だと考えております。そして、訓練を繰り返しながら、安全に対する感度を高めていく必要があるわけであります。
 私自身、「安全への取り組みには終わりがない」との思いを常に持ち続け、皆さまに少しでも安心していただけるように、取り組んでまいりたいと考えております。
 なお、緊急時の安全対策に関しましては、現在、青森県原子力安全対策検証委員会(県検証委員会)におきまして、ご議論をいただいているところでありますので、私どもといたしましても、ご意見を踏まえながら、しっかりと対応してまいりたいと考えております。

 次に、「再処理工場における今夏の節電への取り組み」につきましてご説明いたします。
 今月1日に、国から電気事業法に基づきまして、「昨年夏の使用最大電力、または、契約電力を更新した場合は、その契約電力に対して15%削減する」という、電気の使用制限の通知がありました。
 再処理工場の契約は、昨年度は48,000kWでありましたが、今年度は、52,000kWに更新したことから、今夏、再処理工場で使用できる電力の上限は、44,200kWということになります。なお、契約電力を増やした理由でありますが、昨年は大変な猛暑であったことから、相当な節電努力をして、何とか乗り切ったという経験に加えまして、今年は、返還ガラス固化体の貯蔵建屋の増設分もしゅん工したことなどから、契約電力を増やした次第であります。
 当社といたしましては、当然、今夏の電力使用制限を守ってまいりますが、さらに、東北電力管内の需給状況は非常に厳しいと伺っておりますので、再処理工場の日々の運用の節電目標を42,000 kWとして、しっかりと取り組んでいくことといたしました。
 具体的な対策といたしましては、「施設の設備点検を夏季にシフトし、設備の運転電力を削減すること」や、「クレーンなど機器類の運転をピーク時間帯を避けること」、「巡視点検時以外の工場の照明の消灯」や、「事務所内の空調設備の調整、昼間の照明の消灯、エレベータの間引き運転」など、可能な限りの削減を行ってまいる所存であります。
 節電目標は、厳しいものでありますが、節電対策による効果を常に確認しながら、何とか節電目標を達成させ、電力使用制限を守るだけではなく、さらなる節電に、少しでもお役に立ちたいと考えております。
 なお、固化セル内の作業でありますが、先月末から実施しておりましたA系の結合装置の交換につきましては、作業自体は今月10日に終了し、今後、国の検査を受検する予定であります。また、現在、安全蒸気ボイラの法定点検を開始しておりますが、この点検につきましては、震災の影響で事前確認試験が遅れていることから、この間を利用して前倒しで実施するものであり、また、先ほど申し上げました節電対策にも役立つものでもあります。なお、法定点検につきましては、8月中旬頃まで行ってまいりたいと考えております。

 最後に、「平成22年度決算」につきましてご説明させていただきます。昨年度の決算を一言で申し上げますと、61億円の大幅な赤字決算であった一昨年度との比較では、増収増益決算ではありますが、当期純利益ベースで申し上げますと、何とか4億円の黒字を確保することができたというものであります。
 お手許の配布資料、「損益計算書」をご覧いただきたいと思います。まず、「売上高」は3,082億円となり、前年度に比べて226億円の増収となりました。その主な要因は、昨年1月に使用済燃料に係る核燃料物質等取扱税の税率が大幅に引き上げられたことにより、操業コストが増加したため、その相当額を使用済燃料再処理料金に織り込んだことなどであります。
 次の、「売上原価」ですが、2,632億円と、前年度に比べて108億円の増加となりました。その主な要因は、使用済燃料に係る核燃料物質等取扱税や、委託費用が増加したことなどによるものであります。
 この結果、「売上総利益」は449億円、「販売費および一般管理費」を差し引いた「営業利益」は198億円、「営業外損益」を反映した「経常利益」は38億円となりました。この他、設備更新に伴う除却費用など34億円を「特別損失」として計上しましたので、「当期純利益」は4億円と、先ほどご説明したとおり、何とか最終的には黒字を確保することができたということであります。
 以上が決算の概要でありますが、ご案内のとおり、昨年9月の増資によりまして、自己資本比率は19.2%と財務体質は大きく改善しております。この強化した財務基盤のもと、今後とも再処理事業をはじめとした原子燃料サイクル事業を着実に進めてまいりたいと考えております。

 
以上

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