日本原燃
2011年4月27日

 

定例社長記者懇談会挨拶概要



 東日本大震災の発生から1ヶ月半が経過した訳でありますが、改めて、被災されました皆さまに、心からお見舞いを申し上げます。とりわけ、福島第一原子力発電所の事故により、避難生活を余儀なくされておられます立地周辺の皆さまを始め、多くの皆さまが大変な苦しみの中にいらっしゃることは、同じ原子力に携わる者として、痛恨の思いでいっぱいであります。
 東京電力では、事故の収束に向けた工程を取りまとめ、その実現に向けて、全力で取り組んでいるところでありますので、この取り組みが確実に成果をあげ、原子炉が一日も早く冷温停止状態となり、放射性物質の拡散が止まることを、心から願っているところであります。
 私どもといたしましても、現在、スクリーニングや環境モニタリングなどの作業を中心に、福島へこれまで延べ約220名、常時約30名体制で支援活動を実施しておりますが、今後も引き続き、あらゆる面で最大限の支援を行ってまいる所存であります。
 さて、本日は、「再処理施設における緊急時の安全対策」について、ご説明させていただきます。お手許の資料をご覧下さい。
 福島第一原子力発電所の事故は、津波の影響によって全ての電源が失われたことによるものでありますが、これを受けて国から電力各社に対し、3月30日付けで、「全交流電源喪失」、すなわち、外部電源が喪失し、非常用ディーゼル発電機による電源もすべて停止するといった時の緊急時の安全対策について、6項目にわたる指示が出されました。
 私どもの再処理施設では、前回ご説明したとおり、原子力発電所と異なり、冷却のために海水を取水する必要がないため、内陸立地が可能で、海岸から5q、標高55mの台地に設置されているため、津波の影響を受けることは考えられません。
 ここで、あらためて、再処理施設の電源確保のための対策をご説明いたしますと、まず、東北電力の送電線154kVの2回線から受電することで、1回線が停電した場合でも、施設を運転できる能力を確保しています。そして、使用済燃料受入れ・貯蔵施設を含む、再処理施設全体の外部電源が喪失した場合に備え、バックアップであるディーゼル発電機5台、具体的には再処理施設本体側に約7,300kWの非常用ディーゼル発電機が2台、それに運転予備用として約11,000kWのディーゼル発電機が1台、使用済燃料貯蔵プール側には約4,400kWの非常用ディーゼル発電機が2台備わっており、二重三重のバックアップ体制となっております。
 このため、津波の影響が考えられない当社の再処理施設で、全交流電源喪失といった事象が起こることは、まず、あり得ないと考えておりますが、しかしながら、3月11日と4月7日の地震で、我々としてそうそうには起こりえないだろうと考えていた外部電源の喪失といったことが、長時間にわたって2回も起こりました。
 したがいまして、「まずは、起こり得ないだろう」という考えから、「起こり得る。そうした時にどうするか」といった考え方に立ちまして、私どもといたしましても自主的に、再処理施設における全交流電源喪失という緊急時の安全対策について、その対応策をあらためて検証するとともに、先日、皆さまにもご覧いただきましたが、対応訓練も実施した次第であります。

 再処理施設の場合、全交流電源喪失といった万万が一の事態が発生した時に、安全上即対応をとらなければならないことは、放射性物質の崩壊熱を除去する設備、具体的には高レベル濃縮廃液などの貯槽ですが、これらの設備の冷却機能をしっかりと維持すること、と同時に、水が放射線分解されて少しずつ発生する水素の滞留をしっかりと防止することであります。
 このため、再処理施設全体で全交流電源が喪失した場合は、まずは配備した約1,600kWの電源車から再処理本体の安全確保に必要な電力1,560kWですが、ここに電気を供給し、高レベル濃縮廃液などの貯槽の冷却機能を確保いたします。さらに、空気を貯槽に送り込むために必要な設備を運転することで、水素滞留の防止機能を確保することを優先します。一方、使用済燃料貯蔵プールには、貯水槽10,000t、消火水槽900t、防火水槽40tといった施設内の各所にある水源から消防車や可搬式ポンプで注水することといたしております。先週21日の訓練も、こうした観点から実施したものでありますが、今後は、これらの対応マニュアルを再度しっかりと検証してまいりたいと考えております。
 また、電源確保対策の更なる充実のため、同容量の電源車2台を、1台については年内、もう1台については今年度中に追加配備し、安全対策に万全を期すことといたしました。なお、中長期的な対策として、再処理施設本体と使用済燃料貯蔵プール側にそれぞれ2台ある非常用ディーゼル発電機のさらなるバックアップ用としての発電機をさらに追加設置することとし、仕様や設置場所などの検討を始めております。
 私どもといたしましては、今回の福島第一原子力発電所の事故を深刻に受け止め、大きな教訓としなければならない、そうした思いから、社内に私を主査とする検討委員会を設置するなど、緊急時の安全対策そのすべてについて再度しっかりと検証し、皆さまに安心していただける設備づくりに取り組んでまいる所存であります。
 最後に、ガラス固化施設における事前確認試験の開始時期につきましては、今ご説明いたしました緊急時の安全対策への取り組みを進めるとともに、この夏の電力の需給状況を踏まえた上で検討してまいりたいと考えております。このため、試験開始までの間を利用いたしまして、A系の結合装置の交換や、ボイラー、クレーンなどの法定点検などを実施し、工程への影響が出ないようにしてまいりたいと考えております。

 
以上

INDEX 一覧へ