日本原燃
2011年2月25日

 

定例社長記者懇談会挨拶概要



 最初に、「再処理工場における現在の取り組み状況」につきまして、ご説明させていただきます。
 まず、固化セル内の作業状況についてでありますが、セル内機器の点検につきましては、残っておりました間接加熱装置などの点検も終了し、これにより、現場における218機器全ての点検が終了いたしました。また、ガラス溶融炉への温度計の設置工事につきましては、B系の温度計の設置は今月1日に既に終了しており、A系の温度計の設置も3月の中旬には終了する見込みであります。
 次に、高レベル廃液濃縮缶の復旧工事についてご説明させていただきます。保護管の内部に圧縮空気を供給して加圧する設備につきましては、工場での製作を終え、すでに現場に搬入しており、その主要な設備であります、万が一の放射性物質の移行を考慮して設置することとしました「換気ボックス」や、保護管内の温度計の汚染を防止するための長さ約12メートルある管の据え付けも終了いたしました。
 今後の作業といたしましては、この汚染防止用の管に温度計本体を挿入し、据え付ける工事などがあります。工事は順調に進んでおり、3月の中旬か遅くとも下旬には濃縮缶を復旧できる見込みであります。現場工事にあたりましては、放射線の防護対策に万全を期して、慎重に作業を行っているところであります。
 次に、「B系のガラス溶融炉における事前確認試験」につきまして、ご説明させていただきます。高レベル廃液濃縮缶が復旧次第、いよいよB系のガラス溶融炉における「事前確認試験」に取り組んでまいります。
 お手許の資料1をご覧下さい。まず、「1.試験の目的」でありますが、この事前確認試験では、KMOCの試験結果の実機への反映に係る最終的な確認を行うこととしております。
 これまで行ってきました東海村のKMOC試験で、2008年10月のガラス溶融炉の流下不調の原因と、それを踏まえての改善策をつめてきたわけですが、実機でもその改善策が確実に実施できるよう、今回、二つの確認試験を行います。
 一つは、模擬廃液、つまりKMOC試験と同じ廃液を使った試験でありまして、炉の構造の違いから、実機はKMOCに比べ10℃〜20℃程度、炉底部のガラス温度が高くなると評価していることから、KMOCと同じ条件で実機を運転した場合のガラス温度を確認した上で、実機でもしっかりと温度管理ができるように調整していくことであります。
 もう一つの試験は、実廃液を使った試験でありまして、実廃液には放射性物質が含まれており、崩壊熱が発生いたします。
 この崩壊熱により、実廃液は模擬廃液に比べ、ガラス温度が20℃程度高くなると評価しておりますが、あらためてその影響を確認した上で、実廃液でもしっかりと温度管理ができるように調整していくことであります。
 「2.試験の進め方」でありますが、まず、溶融炉の熱上げを約2週間かけて行った後に、作動確認を行い、そして、模擬廃液による試験を実施し、データの評価を行った上で、不溶解残渣廃液を含まない実廃液による試験、そして、不溶解残渣廃液を含んだ実廃液による試験を行うこととしております。
 この事前確認試験は、B系の後にA系でも行いますが、現在の工程の里程標である「2011年度内」を目途に、段階的にデータを確認しながらじっくりと時間をかけて、慎重に取り組んでまいる所存です。
 次に、「ガラス固化技術開発施設の建設」につきまして、ご説明させていただきます。
 お手許の資料2をご覧下さい。再処理工場のしゅん工後のガラス固化技術の更なる信頼性向上を図るために、研究・開発を進めております「新型ガラス溶融炉」、これは、現在の溶融炉を改良するものでありますが、この新型炉の溶融技術について、実規模試験での検証を行ったり、遠隔操作による保守技術の開発や検証を行うことなどを目的といたしまして、再処理事業所の敷地内に「ガラス固化技術開発施設」をあらたに建設することにいたしました。
 来月の中旬に着工し、2年後の2013年3月にはしゅん工をさせたいと考えております。東海村にもKMOC施設がありますが、六ヶ所村にこうした機能を集約し、溶融技術、遠隔保守技術、解体技術といったガラス固化技術の研究開発拠点として大いに活用してまいりたいと考えている所存です。

 
以上

INDEX 一覧へ