日本原燃
2010年10月21日

 

定例社長記者懇談会挨拶概要



 本日は、「再処理工場における現在の取り組み状況」と、「東海村にある実規模モックアップ施設・KMOC試験の概要」などについて、ご報告させていただきます。

 まず、「再処理工場における現在の取り組み状況」でありますが、ガラス溶融炉の温度管理をより確実なものとするための、温度計を追加設置する工事につきましては、先月30日に国から設工認の認可をいただきましたので、現在、ガラス溶融炉B系の温度計の製作を行っております。今月中には完成し、来月中旬頃には溶融炉への据付作業が完了する予定であります。
 また、固化セル内における機器の再点検につきましても、点検作業が順調に進んでおり、全体218機器のうち、B系の「事前確認試験」に必要な108機器の点検につきましては、一部を除きまして、ほぼ終了いたしました。
 このため、B系の「事前確認試験」の後に予定しておりました、A系の試験に必要な110機器につきましても、並行して点検を開始しておりまして、これにつきましても、すでに8割以上が終了しております。
 こうした進捗状況を考慮しますと、A系の「事前確認試験」のための溶融炉熱上げ時に確認を行う「間接加熱装置」を除くほとんどの機器点検が、B系の「事前確認試験」前には終了することができると考えております。また、ITVカメラや照明などの補修作業につきましても、順次実施しております。
 したがいまして、今後の作業につきましては、今後の点検作業の進み具合にもよりますが、B系の「事前確認試験」の後に予定しておりましたA系の溶融炉の「炉内残留物の除去作業」やA系における「温度計の設置工事」などにつきましても、B系の「事前確認試験」の前に行うことも検討してまいりたいと考えております。
 なお、分離建屋における高レベル廃液濃縮缶の温度計保護管内への廃液漏えいにつきましては、漏えいの原因と思われる保護管内の損傷の状態を確認するために、小型カメラを使った内部の観察や、圧力降下確認などを丁寧に行い、損傷状態を確認してまいりましたが、調査状況から、損傷は極めて小さなものであると推定しております。
 復旧方策につきましては、海外でも同様の事象が起こっておりますので、それらの対策なども参考にしながら、配管の中に外部から空気を供給する方法や、温度計が廃液に触れることを防ぐための管を保護管の中に入れる方法などについて、現在、検討を行っているところであります。
 いずれにいたしましても、できるだけ早く報告書をまとめ、国へ報告させていただきたいと考えておりますが、この間にも、先ほどご説明いたしましたように、固化セル内の機器の点検などをしっかりと行い、全体の工程を着実に進めてまいりたいと考えております。

 次に、「KMOC試験の概要」につきまして、ご説明させていただきます。
 前回のKMOC試験では、第5ステップで発生した流下性の低下の状態を再現し、原因を究明するための試験でありましたが、今回の試験は、出来るだけ実機に近づけた状態でKMOCを運転し、今後行う「事前確認試験」をより確実に進めることを目的としたものであります。
 具体的には、KMOCと比べて実機はレンガが若干厚いため、熱が外に逃げる割合が異なることや、崩壊熱の影響でKMOCより炉底部が30度程度高くなると推定されておりますので、KMOCの炉底部に断熱材を設置することなどにより、実機とKMOCとの差をあらかじめしっかりと確認する試験や、KMOCは試験施設のため、実機よりも多くの温度計が設置されておりますが、実機と同様の7点の測定点だけの監視により、電力を調整し、うまく運転できるかといった試験を実施いたしました。
 その結果、今後、実機で行う「事前確認試験」を計画通り実施できる見通しが得られたものと考えており、「運転方法の改善検討結果報告書」にも反映してまいりたいと考えております。なお、来年もKMOCでの試験を行い、ガラス溶融炉の安定運転の向上のため、運転データの取得や運転員の技術習熟を行う予定であります。

 次に、昨日もご報告させていただきましたが、「返還低レベル廃棄物の受入れ・貯蔵」についてご説明させていただきます。海外からの返還廃棄物の受入れにつきましては、8月19日までに、青森県ならびに六ヶ所村からご了解をいただき、これまで準備を進めてまいりましたが、昨日、「廃棄物管理事業」の変更許可を、国に申請させていただきました。
 あらためまして、ご理解をいただきました青森県ならびに六ヶ所村の皆さまに、心から感謝を申し上げます。私どもといたしましては、2013年の返還開始を目指し、安全確保を最優先に着実に進めてまいります。

 最後になりますが、MOX燃料工場につきましては、ご承知のとおり、5月13日に国から事業許可をいただき、同月21日に、設工認の申請を行ったところであります。
 私どもとしては、認可をいただき次第、何とか今月中には着工したいと考えております。

 
以上

INDEX 一覧へ