日本原燃
2010年7月29日

 

定例社長記者懇談会挨拶概要



 本日は、今月15日にご報告いたしました「ガラス溶融炉の運転方法の改善」と、昨日ご報告いたしました「ガラス溶融炉の一部損傷」に関する報告書についてご説明させていただきます。
 その前に、先週23日から青森市をはじめとする7会場におきまして、「海外返還廃棄物の受入れ」に関する県主催の県民説明会が開催されましたが、このようなご説明の機会をいただいたことを、大変ありがたく思っております。
 今回、多くの皆様から貴重なご意見をいただきました。私どもといたしましては、こうしたご意見を真摯に受け止めるとともに、今後の事業運営に活かしてまいりたいと考えております。
 また、明日は青森県議会の「原子力・エネルギー対策特別委員会」が開催される予定でありますので、ご理解を賜りますよう、ご説明をさせていただきたいと考えております。

 次に、「ガラス溶融炉の運転方法の改善検討結果」でありますが、一昨年10月のガラス固化試験において、最後に不溶解残渣廃液を供給したところ、流下性が低下し、5本目で流下不調に至りました。このため、7ヶ月にわたりまして、東海村にありますKMOCで、より実廃液の組成に近い模擬廃液を使って、考えられる原因を検証し、流下性低下時の状態を再現する試験も行いまして、原因の究明に取り組んでまいりました。
 その結果、流下不調は不溶解残渣を入れたことよりも、溶融炉内のガラスの温度計が仮焼層の影響を受けやすい位置にあったために、ガラスの温度上昇を正確に把握することができなかったことや、流下ノズルの加熱性が低下したことを補うために、炉底部の温度が高い状態で運転を継続していたことなどから、ガラス温度が上昇し、白金族が沈降・堆積したためということが、はっきりと分かってまいりました。
 このため、この改善方法といたしまして、炉内に温度計を追加設置し、ガラス温度の測定点を増やすことにより、温度管理を徹底するとともに、模擬ガラスビーズに替え、模擬廃液による定期的な洗浄運転を行うことといたしました。これにより、安定運転を継続して実施できる見通しを得ることができた訳であります。また、温度計の設置につきましては、昨日、国へ設工認の申請をした次第であります。

 次に、「ガラス溶融炉の一部損傷の調査結果」についてでありますが、先月17日にレンガの回収に成功、今月2日にはドレンアウトも終了いたしまして、炉内を詳細に観察した結果、損傷したレンガ以外に溶融炉内に損傷がないことや、炉底部のガラス残留量につきましても、2年半前のドレンアウトの時と比べ、残留量はほぼ同じ程度であることを確認いたしました。
 また、あらためて炉の健全性を評価し、万一、再度、レンガが損傷したとしても、炉の安全性に影響がないことを確認するとともに、再発防止策として炉に設置されているヒータ(間接加熱装置)の温度降下速度を具体的には10分間に10度程度以内となるように運転を緩やかにすることにより、炉の健全性は維持されることも確認いたしました。

 今後は、B系についても炉内観察を行い、炉内損傷がないことを確認したうえで、B系からアクティブ試験を再開したいと考えています。
 なお、今後の作業やアクティブ試験に関しましては、先程ご説明いたしました温度計の追加設置に要する期間や、現在行っておりますセル内の機器点検の結果を踏まえ、安定運転のために必要な追加の改良の有無について検討してまいりたいと考えております。
 さらに、KMOCと実機との差をきちんと把握し、KMOCで確認できました温度管理を実機でも確実に行うために、今後のアクティブ試験の進め方をより詳細に検討してまいります。
 一方、来月からは、再度、KMOCを活用いたしまして、運転技術の向上や、廃液のバリエーションを増やし、より多くのデータを取得するなどの試験を実施いたしまして、その結果を今後のガラス固化試験に活かしていくことも計画しております。
 いずれにいたしましても、7ヶ月にわたるKMOCにおける試験の結果、今後のガラス固化試験に向けて、かなりの知見としっかりとした見通しを得ることができました。
 今後は、これをより確実なものとするために、先程申し上げたような視点から、アクティブ試験に向けての準備にしっかりと取り組んでいくとともに、工程につきましても検討を行っていきたいと考えております。

 
以上

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