日本原燃
2010年6月29日

 

定例社長記者懇談会挨拶概要



 本日は、「ガラス溶融炉の復旧に向けた作業状況」、「東海村にある実規模モックアップ施設・KMOCを使った試験の状況」、「平成21年度決算の概要」の3点についてご説明させていただきます。

 まず「レンガの回収作業」につきましては、既に、皆さまにはご報告をさせていただいておりますが、今月17日に炉底からレンガを引き上げて回収することができました。
 当初の予定よりも時間がかかり皆さまにもご心配をおかけいたしましたが、何とか当面の課題を一つ乗り越えることができました。
 また、新しく開発した治具を使ってレンガを回収することができたことにより、ガラス溶融炉の長期的な安定運転と信頼性の向上につながる技術を確立することができたと嬉しく思っているところです。
 先週の22日からは、炉内ガラスの抜き出しを実施し、現在までのところ、ガラス固化体にして5本分のガラスの抜き出しを行いました。
 当初、白金族の堆積やレンガの破片等による詰まりによって流下や通電が上手くいかない心配もありましたが、やってみると、きれいに抜き出しを開始することができ、ほっとしているところであります。
 ただ、4本目の流下作業を開始する際に若干時間を要し、ガラス温度が下ったことからガラスの流下速度が落ち、現在、加温を実施しておりますが、状況によっては、一昨年実施したように、再度、主電極付近までガラスビ−ズを供給してガラスの抜き出しを行うことも検討しております。
 なお、法定点検の期限がせまっている設備もありますので、場合によっては、必要な固化セル内の機器点検を法定の設備点検にあわせて、ガラスの抜き出しよりも先に実施するかどうかも検討しているところであります。
 ガラスの抜き出しを現時点であきらめているという訳ではございません。現在、加温を続けており、明日以降ガラスの抜き出しを実施してまいりたいと考えております。

 次に、「東海村にある実規模モックアップ施設・KMOCを使った試験の状況」についてご説明いたします。
 KMOCを使った試験につきましては、今月9日から前回起こった流下不調の時に近い炉内の温度状態を再現する試験を先週末まで実施いたしました。
 この結果、予想どおり、ガラス温度が高くなると白金族が炉底部に沈降するという、流下不調の時と同じような状態変化が起こることを確認いたしました。
 KMOC試験は、全体を通じてほぼ順調に進んでおりまして、様々な知見を得ることができましたが、改めて白金族の挙動への対応、つまり、温度管理がいかに大切であるかということと、KMOCに追加設置した温度計の有効性を実感した次第であります。

 試験結果の取りまとめには、もう少し時間がかかりますが、いずれにいたしましても、得られた詳細なデ−タをきちんと評価・分析いたしまして、安定運転に向けての対応策をしっかりと取りまとめてまいりたいと考えております。

 最後に、「平成21年度決算の概要」についてご説明させていただきます。
 まず、「売上高」は2,855億円となり、前年度に比べて198億円の減収となりました。その主な要因は、再処理事業における使用済燃料の受入量の減少、濃縮事業における製品ウランの引渡量の減少等であります。
 次に、「売上原価」につきましては2,524億円となり、売上高と同様に、使用済燃料の受入量や製品ウランの引渡量の減少等により、前年度に比べて150億円の減少となりました。
 この結果、「売上高」から「売上原価」を差し引いた「売上総利益」は、前年度に比べ48億円減の330億円、「販売費及び一般管理費」を差し引いた「営業利益」は前年度に比べまして33億円減の153億円、これに「営業外損益」を反映した経常損益は、前年度に比べ84億円減益の39億円の「経常損失」となり、平成19年度以来、2年ぶりの「減収・減益」の決算となりました。
 また、「特別損失」として、設備更新に伴う除却費用等21億円を計上した結果、「当期純損失」は61億円となった次第であります。

 
以上

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