日本原燃
2009年3月30日

 

定例社長記者懇談会挨拶概要



 本日は、「ガラス溶融炉の一連の事象への対応状況」と、「ウラン濃縮事業の最近の動き」、そして、「六ケ所原燃PRセンタ−のリニュ−アル」について申し上げます。

 まず、「ガラス溶融炉の一連の事象への対応状況」についてですが、その前に一言、情報公開について申し上げます。
 かねてより当社は、本件のような事象をはじめ、あらゆる事象について、様々な機会を通じ、青森県民の皆様への徹底した情報公開に努めてきております。
 そのような中、さる3月26日、蝦名副知事から「一連の事象に係る原因と対策等について、その進捗状況を適宜、県に説明するとともに県議会議員に対しても説明するように」というご要請を頂戴しました。
 調査・復旧等の作業が長期化していることを踏まえてのことと存じますが、このように関係皆様のご心配をいただくような状況にあればあるほど、現状をきめ細かにお伝えしていくことが非常に重要なことになる、という蝦名副知事の言葉を常に念頭に置き、これからは適宜、節目節目でより一層丁寧な説明を心がけてまいる所存であります。
 それでは、最近のガラス溶融炉の状況について申し上げます。
 先月15日以来、廃液が付着した固化セル内のガラス溶融炉関係機器ならびに配管等の洗浄作業を遠隔操作によって慎重に進めてまいりました。しかし、その作業に用いていたクレ−ンならびにパワーマニピュレータに動作不良が発生しましたので、今月初めの9日に洗浄作業を一旦中断いたしました。
 そして、直ちにこれらクレーン等の復旧作業を開始しました。原因となっていたクレーンの付随装置の一部部品を取替えるとともに、マニピュレータの関連機器に付着していた異物を除去し、21日には復旧を完了いたしました。
 今後、固化セル内の点検と復旧したクレ−ン等の動作確認を実施し、洗浄作業の準備が整い次第、洗浄を再開する予定であります。
 一方、再処理事業部における一連の事象の反省を踏まえた、組織的要因を含む「根本原因」まで深堀した品質保証上の改善、再発防止につきましては、当社の品質保証活動を統括する「品質・保安会議」の下に、新たに設置した「全社再発防止対策検討委員会」で徹底した議論を重ねているところであります。
 そうした中、4月2日には、国の品質保証に関する審議の場の一つである「六ヶ所再処理施設総点検に関する検討会」が開催されることになりました。その審議結果等も踏まえまして、更に実効性の高い再発防止策の策定を目指してまいる所存であります。
 このため、廃液の滴下・再滴下等、一連の事象に関する再処理事業部の報告書の最終的な取りまとめは、4月後半になると見込んでおります。
 あわせて、当社の品質保証体制の再構築と組織風土の改革に向けた全社大でのアクションプランの検討・策定についても、現在、鋭意取り組んでいるところであります。これらがまとまり次第、それぞれご報告をさせていただきます。
 ご案内の通り、今、現場では遠隔操作等を中心とする、時間のかかる、非常に神経を使う地道な作業が続いております。
 こうしたガラス固化セル内での一連のトラブル事象は、大きな反省の中での新しい知見であり、体験であります。そして、機械・装置の安全運転の確立に向けた重要なプロセスであると考えています。とはいえ、結果として調査・復旧等、作業は長期化しており、皆様に大変ご心配をおかけしておりますことを申し訳なく存じております。

 次に、「ウラン濃縮事業の最近の動き」について申し上げます。
 当社はこのたび、濃縮事業部内において、来年度から諸準備を含めて本格化していく新型遠心機の製造を見据えて、事業部の体制を開発段階から製造段階に相応しいものへと転換し、新たな役割分担と責任体制の明確化を徹底することといたしました。
 すなわち、新型遠心機の製造・組立を専門とする新たな組織として、「濃縮機器製造工場」を4月1日付で設置することといたしました。同時に、新型遠心機の開発全般を担ってきた「ウラン濃縮技術開発センター」を新型遠心機の製造の段階に入った中で、更に一層きめ細かい長寿命化・低コスト化を継続して追求していくための研究・開発に特化した組織へと改組することといたしました。
 新型遠心機は、国内のメーカー30数社から部品を調達し、当社自らが製造・組立を行うものであります。その部品調達については、既に、関東ならびに東北の2社のメーカーに当社社有地内へ進出いただき、六ヶ所サイトにおいて製造・供給をしていただくことになっておりますことは、既にご案内のとおりであります。このたび、新たに、新型遠心機の複数の部品について、県内企業3社へ地元発注することを決定いたしました。
 今後も、当社事業全般で、できる限り地元発注の輪を広げ、地域との共生を進めてまいりたいと考えております。

 最後に、「六ケ所原燃PRセンタ−のリニュ−アル」について申し上げます。
 わが国唯一の商業用原子燃料サイクル施設のPR拠点である六ケ所原燃PRセンタ−は、平成3年9月の開館以来、今年で18年目を迎えますが、お蔭様でこれまでの累計で 177万人、年間約10万人のお客さまにご覧いただいております。
 このたび、約10年ぶりに展示装置の大規模なリニューアルを実施いたしました。
 今回のリニュ−アルの大きな特徴は、地球環境問題とエネルギ−への関心の高まりにお応えして、温暖化のメカニズムをはじめ、人口問題、世界各国のエネルギ−の実状等について、楽しみながら学べるように2階の展示をほぼ全面改装したことであります。
 あわせて、3階に六ヶ所村の観光スポット等を紹介するコーナーを設け、また地階では、MOX燃料工場の施設概要の説明や、海外のプルサーマルの実績の紹介等、内容の拡充を図りました。
 更なる情報公開の拠点として、新しく生まれ変わった六ケ所原燃PRセンタ−へのご来館を心からお待ちしております。

 
以上

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