日本原燃
2008年11月25日

 

定例社長記者懇談会挨拶概要



 本日は、「アクティブ試験第5ステップの現状と再処理施設の工事計画の変更」、そして「地元企業への発注拡大の新たな動き」について申し上げます。

 まず、「アクティブ試験第5ステップの現状と再処理施設の工事計画の変更」について申し上げます。
 さる10月10日に再開したガラス固化試験では、最初にガラス固化体15本の運転で安定運転状態を満足したことを確認するとともに、回復運転の一つである洗浄運転による洗浄効果についても確認をいたしました。
 引き続き行った7本を加えた22本分のガラス固化試験の結果ならびに評価と、その後実施した燃料せん断片の溶解時に残った粒子状の成分を含んだ廃液を使った23本目以降の流下試験の状況をあわせて、さる10月27日に国へ経過報告を行いました。そして、その内容について、11月4日に開かれた国の再処理ワーキンググループにおいてご説明をいたしました。
 一方、ガラス溶融炉の運転については、炉底部に白金族元素の堆積を示す指標が認められたことから、手順書に従って炉内条件の回復に努めております。
 具体的には、10月27日から炉内の洗浄運転と攪拌棒を使った炉底部の攪拌作業を実施しました。途中で、溶融炉の上部にある攪拌棒を挿入するための窓の開閉ができなくなり、その交換が必要になったことから交換作業を実施しました。そして、同作業完了後、再度、炉底部の攪拌作業と洗浄運転を継続し、炉内条件の回復操作を実施中であります。
 現在、炉内条件の回復に若干手間取ってはおりますが、今後、回復を確認後、ガラス溶融炉A系で粒子状の成分を含んだ廃液を使って安定的に運転できることをデータ取得等によって確認する作業を進め、その結果についてはできるだけ早く国に報告したいと考えております。
 また、溶融炉B系においても、今後、安定して管理された状態で運転継続が出来ることを確認してまいります。加えて、こうした性能確認試験のほか、再処理工場全体の放出放射能の確認試験等を実施してまいる計画であります。
 従いまして、再処理施設のしゅん工時期については、このような試験項目等を勘案し、今朝開催の当社取締役会において、今年11月から来年の2月へ変更することを決定いたしました。また、その旨を経済産業大臣に届け出るとともに、青森県と六ヶ所村にご報告をいたしました。
 なお、今回の工事計画の変更に伴う建設工事費の変更はございません。
 私どもは、今後も安全を第一としたうえで、協力会社の方々とも心を一つにし、しゅん工を目指して着実に進めてまいります。

 続いて、「地元企業への発注拡大の新たな動き」について申し上げます。
 先月のこの場では、当社が「地元青森県の産業育成・地域振興に何がしかお役に立ちたい」という願いから、青森県ならびに青森県中小企業団体中央会との共催で、さる9月3日に開催した「原子力メンテナンス マッチングフェア」の反響をご紹介いたしましたが、本日は、一昨年の9月以来開催してきた「メンテナンス見本市」や「予備品倉庫見学会」の一つの大きな成果をご紹介したいと存じます。
 具体的には、当社の六ヶ所サイクル施設で廃棄物等を収納・保管するために使用する予備品の一つである「角型容器」について、来年度の発注先として新規に地元企業を選定し、具体的な商談交渉を開始したことであります。
 「角型容器」は、ステンレス製で、原子力特有の高いレベルの気密性・耐加重性・加工精度が求められる予備品であります。それだけに、発注先には精密な製品加工能力と高度の溶接技術等が求められます。既に、試作品を提出いただき、技術審査も完了しており、これまでの取り組みが実を結んだものと考えております。
 正式な契約締結はこれからでありますが、当社が「角型容器」の製作を地元企業に発注するのは初めてのことであり、しかも、今回の発注規模は百基程度で、地元企業へのモノづくりの発注としては過去最大の規模になると考えております。
 なお、この地元企業は、昭和62年に青森県と六ヶ所村による誘致企業として六ヶ所村内に設立されており、これまでも当社との間で若干の取引実績があります。
 原子力施設向けの容器生産、溶接組み立て技術の分野で既に高い評価が寄せられていますが、同社は原子力・サイクルのビジネスの将来性を積極的に評価し、それを踏まえて、当社との取引に前向きに取り組むというご判断をされたと伺っております。
 私どもは、今後もこうしたビジネスの「輪」、そして地域共生の「輪」がますます広がるように、そして地域に根ざした地元企業との間でパートナーとしての密な繋がりを数多く結べるよう更に力を注いでまいる所存であります。

 
以上

INDEX 一覧へ