日本原燃
2008年9月22日

 

定例社長記者懇談会挨拶概要



 本日は、「アクティブ試験第5ステップの現状」と、「耐震に関する海上音波探査の調査結果など」、そして「先日開催した原子力メンテナンス マッチングフェア」について申し上げます。

 「アクティブ試験第5ステップの現状」について申し上げます。
 ガラス溶融炉におけるガラス流下停止に関しましては、さる9月12日に、設備の調査ならびに復旧状況と、その原因の究明、そして今後の確認試験について、国へ2度目の経過報告を提出するとともに、青森県・六ヶ所村にお知らせをしました。
 この経過報告の中では、既にご案内のとおり、流下ノズル近傍に確認されていた付着ガラスを、新たに開発したヒーターやノッカーを駆使して除去した上で、結合装置を取り外して内部の清掃・除去を実施し、可能な限り、付着ガラスを除去いたしました。
 その上で、除去した付着ガラス等を分析した結果、現状では白金族元素の堆積を示すものがみられなかったということを報告するとともに、今回の流下停止、および流下ノズル上端部にガラスが付着するということに至った理由を絞り込みました。
 主な原因は、流下操作を開始した時点では、流下ノズルの温度が円滑な流下に必要な温度まで上昇していなかったため、流下ガラスの粘性が高くなり、その結果、流下ガラスが曲がった状態で流下し、それがコイルなどに付着し、そこを起点としてノズルの下部が閉塞したものと推定した次第です。
 また、これに対する対策としては、流下操作を開始する条件として、ノズルの温度目標値を高めに新規設定することにいたしました。
 結合装置につきましては、取り付けなどの復旧作業を9月14日に終了しており、現在、溶融炉の熱上げなど流下開始の準備を進めております。今後、諸準備が整い次第、対策を踏まえて流下を開始し、ガラス固化体3本程度の流下を行って、流下ノズルの健全性と流下性についての確認試験を行うこととしております。さらに、その結果をできるだけ早く取りまとめて、国へ報告し、国によるご確認をいただき次第、できるだけ早く、ガラス固化試験を再開してまいりたいと考えております。

 次に、「耐震に関する海上音波探査の調査結果など」についてご報告申し上げます。
 昨年11月に六ヶ所の前面海域における海上音波探査を実施し、その後解析を行ってまいりましたが、この度、解析が終了しました。結果として、調査海域の地層の積み重なりや地質分布等は、これまでの調査結果とほぼ同様でありましたが、三沢市天ケ森の沖合い約3kmの海底の地層にごく短い傾斜などが1箇所確認されました。
 この地層の傾斜については、念のため「長さ約6kmの耐震設計上考慮する活断層」として評価を行いました。その上で、敷地からの距離などを踏まえ、当社が検討用地震として選定している出戸西方断層に比べても影響が小さく、基準地震動を下回ることを確認した次第です。
 なお、その他、新たな活断層などは、今回調査した六ヶ所の前面海域で一切確認されませんでした。従って、北方にある大陸棚外縁の断層が当社敷地近くまで伸びている可能性はないということを再確認できたと考えています。
 一方、これまでの当社敷地近傍の地質調査結果の信頼性をさらに高めるために、当社はこの度自主的に、むつ小川原港からの当社敷地内・専用道路に沿って「ボ−リング調査」を行うとともに、敷地近傍で「地表地質調査」を実施しました。
 それらの解析の結果、「ボ−リング調査」では、少なくとも70〜80万年前の砂子又層という地層が平らに広がっており、しかも変形がみられないことを確認できました。従って、従来の評価と同様、耐震設計上考慮すべき活断層がないことを再確認できたと考えています。
 また、「地表地質調査」では、当社敷地の北東にある出戸西方断層の周辺で、段丘面の地層に堆積している洞爺火山灰などの火山灰の分布状況等を再度調べた結果、そこにある複数の段丘面は、活断層等のために一つの段丘面が変形してできた地形ではなく、従来の評価と同様、海水位の変動に伴って別個に形成された段丘面であり、活断層に繋がるものではないと考えています。
 なお、さる9月19日には、東北電力(株)、東京電力(株)、リサイクル燃料貯蔵(株)の3社で進めていた、横浜断層についての調査結果が公表されました。長さ約15kmの耐震設計上考慮すべき活断層として評価するとの結果でありますが、当社としては、それを踏まえて、敷地への影響を評価した結果、敷地への距離の関係などからみて、出戸西方断層による地震動を上回るものではなく、基準地震動を下回ることを確認しました。

 最後に「先日開催した原子力メンテナンスマッチングフェア」について申し上げます。
 私どもは「地元青森県の産業育成・地域振興に何がしかお役に立ちたい」という願いから、地元企業の皆さまに再処理工場のメンテナンス業務等へさらに参入していただくため、一昨年の9月以来開催してきた「メンテナンス見本市」や「予備品倉庫見学会」に続く、企画第3弾として、さる9月3日に「原子力メンテナンス マッチングフェア」を開催しました。
 おかげさまで、県内各地から約90社、約140名の地元企業の皆さまに参加していただきました。そして、「新規参入には営業努力が必要だが、企業を訪ねるのにもきっかけが要る。こうしたフェアは大変ありがたい。」、「これを機会に今後は営業攻勢をかける」、「技術力の向上になるため契約を考えてみたい」など、前向きで、しかも力強い反響を耳にしております。これを機会に、ビジネスの「輪」、地域共生の「輪」がますます広がることを心から願っている次第です。

 
以上

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