日本原燃
2008年4月25日

 

定例社長記者懇談会挨拶概要



 まず、2つのトラブルが最近繰り返し発生し、青森県民の皆さまに心配をお掛けしたことについて、改めてお詫び申し上げます。
 トラブルのひとつは「せん断機油圧系統からの油漏れ」です。前処理建屋内で今年元旦に発生し、それに続いて4月13日に再度発生しました。原子力安全・保安院の指示を受けて、23日に原因と再発防止策を取りまとめた報告書を国へ提出すると同時に、青森県・六ヶ所村へ報告しました。
 もうひとつのトラブルは「封印のき損」です。ウラン酸化物貯蔵建屋内で、国際規制物資の移動を監視するために設けられている封印を3月15日と4月10日の二度にわたってクレーンの点検中にき損しました。
 文部科学省から厳重注意を受け、再発防止策などを取りまとめた報告書を23日に国へ提出すると同時に、青森県・六ヶ所村へ報告しました。
 13日の油漏れの原因は、油圧制御ユニットで用いる作動油の不純物を除去するフィルタの付属装置取付け不良に起因して、補助シール用の樹脂製リングが脱落したためと推定しています。また、10日の封印き損の原因は、現場レベルの対策実施の遅れなどであり、いずれのケースにおいても、現場における品質管理の更なる徹底の必要性を痛感しています。
 この反省に立ち、それぞれの再発防止を徹底することはもとより、当社職員と協力会社職員が一体となり、決意も新たにし、ハードとソフトの両面で「トラブル・不適合の未然防止」と「設備安全の徹底」に取り組むこととしました。そのため、「特別品質安全集会」を5月12日に六ヶ所再処理事業所内で開催します。皆が心を一つにし、石に齧りついてでもぜひ実現しようという決意を新たにし、それらを宣言するためのいわば「誓いの場」です。
 また、小集団活動や労働安全に軸足を置いた諸活動なども今後さらに加速していきます。

 次に、「アクティブ試験の第5ステップの進捗状況」と「フランス・フィヨン首相の再処理工場ご視察」について申し上げます。
 「アクティブ試験の第5ステップの進捗状況」については、3月25日にガラス溶融炉の炉内残留物除去と炉内点検を終了しました。その後、炉内残留物の除去効果確認のため、4月7日から炉内の加熱を開始し、4月14日からは溶融炉にビ−ズを入れ、ガラス固化体1体分の原料ガラスを溶融し電気抵抗などを測定しました。結果として、必要な電気抵抗が得られ、炉内残留物の除去がしっかり行われたことを確認できました。
 そして、4月18日には流下作業を行った上で、溶融炉は今も高温の状態を維持しています。
 一方、ガラス溶融炉の試験再開に必要な「溶融炉の運転方法の具体化」については、炉内残留物を分析・評価するとともに、過去のデータの評価や実験・解析など種々の調査結果や知見を通じて、溶融炉内で起きた事象や廃液の濃度が運転に与える影響などを一つ一つ解明しました。その結果として得られた知見や運転条件の具体化に向けた準備状況について、今週4月22日に開催された国の再処理ワーキングで説明しました。
 今後、これらを当社として取りまとめて報告し、国の委員会などの場で審議いただき、国の確認と評価をいただいた上で、ガラス溶融炉の試験を開始したいと考えています。
 一方、せん断については、4月13日にせん断機油圧系統から再度の油漏れが発生して以降、停止していますが、23日に再発防止策などをまとめた報告書を国へ提出しました。今後、必要な対策の実施および類似箇所の点検を行い次第、運転を再開する予定です。
 いずれにしても、国の了解をいただいた上で最後の課題であるガラス溶融炉の試験をできるだけ早い時期に開始し、安全を最優先としつつ一歩一歩着実に、登山で言えば頂上アタックを目指したいと考えています。

 次に、「フランス・フィヨン首相の再処理工場ご視察」について申し上げます。
 4月12日、フィヨン首相をはじめとするご一行を、甘利経済産業大臣、三村青森県知事、古川六ヶ所村長などご関係の方々と一緒に、当社六ヶ所再処理工場へお迎えすることができました。
 日仏交流150周年という大きな節目の年に、来日されたフィヨン首相が、わが国での視察場所の一つとして、私どもの六ヶ所再処理工場をお選びになり、しかも六ヶ所村の地において私どもを前に「日仏のチームが非常に素晴らしい仕事を共同でやっていることが理解できた。六ヶ所再処理工場は日仏の35年間におよぶ技術協力の象徴だ。日仏は、原子力の賢明な利用で世界の先導役にならなければならない」と発言されたことは、私どもとして大変光栄なことでした。
 と同時に、六ヶ所村のプロジェクトは、わが国ばかりでなく、世界のエネルギーセキュリティと地球環境を守っていくために大変重要な役割を担うものとして大きな期待と使命が与えられていることを改めて痛感し、身の引き締まる思いがしました。
 今後もこの六ヶ所村、そして青森県が日仏協力のコアとなり、その輪を一層広げていくよう、全力を尽くしてまいりたいと考えています。

 
以上

INDEX 一覧へ