日本原燃

2007年3月29日


定例社長記者懇談会挨拶概要


 本日は「アクティブ試験・第3ステップの進捗状況」と「GNEP構想への参画に向けたアレバ社等との連携」、「新型遠心機のカスケード試験の開始」について、お話します。

 まず「第3ステップの進捗状況」です。2月5日〜7日にかけてBWR燃料46体、2月25日〜3月8日の間に同じくBWR燃料229体のせん断を行いました。第2ステップまでとは異なる、もう一方の系列を初めて使いBWR燃料のせん断を連続的に行いました。ほぼ計画通りの進捗であり、今後は4月上旬からPWR燃料のせん断を開始する予定です。
 このような中、さる11日、ウラン・プルトニウム混合脱硝建屋で、混合溶液を誤って脱硝皿の中に再注入するという事象が発生し、皆さまに大変ご心配をおかけしました。再発防止のため、手順書の見直しや照明など設備の改善を行い、国に確認をいただいた上で3月20日に脱硝工程を再開しました。
 今後は教育・訓練を通じて、運転員や操作員に作業の一つひとつで安全確認を徹底する習慣づけを図るとともに、技術・技能のさらなる向上に努め、着実かつ慎重にアクティブ試験を進めていきます。

 次に「米国のGNEP〔国際原子力エネルギー・パートナーシップ〕構想への参画に向けたアレバ社等との連携」について説明します。
 GNEP構想は米国エネルギー省が昨年2月に公表したもので、当社は昨年9月、日本原子力研究開発機構、国内メーカー各社とともに公募に応じ、関心表明を行いました。その後、当社とアレバ社との良好な協力関係のもと、GNEPというプロジェクト推進の国際的意義を踏まえると、日仏米の企業が協力して取り組むべき、との新たな視点から、アレバ社をはじめ国内関係機関などと協議を重ねました。
 その結果、日本原子力研究開発機構、国内メーカー各社との協力体制をもとに、GNEP構想の「統合原子燃料取扱センター」への参画に向け、アレバ社等と新たな連携を図ることとしました。
 具体的には、本日、アレバ社がワシントン・グループ・インターナショナル社、BWXテクノロジーズ社という米国原子力企業2社とともに組織した、米国における原子燃料リサイクルに関する検討チームにイコール・パートナーとして加わりました。
 当社の特長は、最新の再処理工場の建設を通じて、混合脱硝や保障措置などの平和利用技術、廃棄物処理などの環境技術に精通していることにあると思います。このため、今後、こうした自らの持ち味をいかし、GNEP構想の中の、「統合原子燃料取扱センター」のトラック1、すなわち現在の商業用の再処理・燃料製造の最新技術を主軸としたプロジェクトへの参画に向けて検討を進めます。
 当社がGNEPへの参画を目指す最大の狙いは、国際的な社会貢献の観点から、自らの再処理工場の建設並びに運転の経験・ノウハウなどを国際的なエネルギー供給確保に向けて役立てたいということです。同時に、こうしたグローバルなプロジェクトに参画することは、貴重な知見が得られることを意味し、それは長期的な運転を継続していく再処理工場の安全安定運転・保守面などで必ず役に立つと考えます。
 さらには、今後、最新鋭のプラント建設・運転に携わった日仏両国の技術者による国際協力を礎とし、アレバ社との新しい協力関係を構築する中で、サイクルの平和利用におけるリーダーシップを、この青森の地から世界に向けて展開していきたいと考えます。

 続いて、「新型遠心機のカスケード試験の開始」についてです。当社は、既設の遠心機の後継となる新型遠心機について、2000年度から国内の技術者を結集し、国際的に見て遜色のない濃縮コストの実現を目指し、より高性能の遠心機開発に取り組んできました。
 このような中、試験用の遠心機、ならびに試験装置の製作・据付が完了したため、4月2日から開発の最終段階となる『カスケード試験』が開始できる見通しとなりました。
 『カスケード試験』は、実プラントで使用する遠心機を組み合わせた設備を用い、運転特性の確認や運転操作方法を確立することを目的としています。最初はウランを使用せず、真空状態を保ち、圧力の変化を確認するなど、起動のための条件設定を確認する試験から開始します。その上で、段階的に試験工程を進め、早ければ今年夏頃に、ウランを使用してカスケード設備の性能を確認する試験へと進める計画です。
 今後も、安全を最優先にして慎重に試験を進め、カスケード試験等の結果を踏まえ、2010年度に新型遠心機による生産開始を目指す計画です。その後、段階的に規模を拡大し、約10年で1,500トンSWU/年規模にすることを目指します。
 なお、既にご案内のとおり、当社のウラン濃縮設備は商業炉用で、平和利用目的に限定したものです。従って保障措置についても、当社はIAEAの査察を全面的に受け入れ、定期・不定期のものを合わせて年間二十数回もの査察が実施されています。

 最後ですが、先日開催した予備品倉庫見学会には、多数の参加をいただきました。今後は、何とか、実際のビジネスに繋がり、実を結ぶことを期待しています。

以上

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