日本原燃

2006年12月22日


定例社長記者懇談会挨拶概要


 今年は年初から、中国やインドなどの旺盛な経済発展と複雑化する国際情勢の中で、原油価格が史上最高の記録的水準で推移しました。同時に天然ガスやウランなどのエネルギー価格も高騰を続け、資源の限界が顕在化してきた、といっても過言ではないように思います。
 それに呼応するかのように「原子力ルネッサンス」が世界に広がり、原子力発電、更には原子燃料サイクルに対する積極的な評価が見られました。かつて第一次、第二次オイルショックでは「原子力」が評価されましたが、それに対し、今日の第三次オイルショックとも言える状況のもとでは「サイクルの平和利用」が評価されていることが特徴だと考えています。このような中、サイクル事業の中核施設である再処理工場が、3月31日にアクティブ試験を開始しました。
 昭和60年4月に、青森県と六ヶ所村から立地のご了解をいただいてから20年余りの歳月を経て、実際の使用済燃料を用いた試験を開始したことは、誠に感慨深いものです。
 また、8月には「原子力立国計画」が正式決定され、原子燃料サイクル事業は「エネルギーセキュリティーの確保」と「地球環境保全」の両面からその重要性が改めて確認され、しかも国策としてゆるぎない政策であることが打ち出されました。それだけに、当社の果たすべき使命の大きさと責任の重さを改めて痛感しました。

 アクティブ試験の第1ステップにおいて、放射性物質の体内取り込み問題が発生し、地元ならびに県民の皆さまに、ご心配をおかけしました。改めて深くお詫びします。
 再発防止対策として、設備改善などのハード面と、分析員に対する再教育などのソフト面の両面にわたる徹底した対策を実施しましたが、いま振り返っても、こうした問題が発生したことは誠に残念でした。しかし一方では、大変重要で、かつ意義深い教訓を得たもの、と思っています。それだけに、この教訓を今後に活かしていきたい、と考えています。
 また、8月に始まった第2ステップでは、11月16日に、当社の工場として初めて、核不拡散性に優れ、MOX燃料製造に適したウラン・プルトニウム混合酸化物を製品として回収しました。
 資源小国のわが国において、念願の準国産エネルギーを、この青森の地で生産開始したわけです。今後もIAEAとの協定に基づいたフルスコープの保障措置、査察を受入れ、高い核不拡散性と透明性を確保しながらサイクル事業に取り組み、エネルギーセキュリティーや地球環境の面で、ぜひお役に立ちたいと決意を新たにしました。
 12月6日には第2ステップの試験項目も無事終了し、現在、「ホールドポイント2」として、基本的な安全性の評価や不適合・改善事項の是正を行っており、あわせて、この期間でなければできない検査や点検作業なども実施しています。
 また、第2ステップのうちPWR燃料を用いて確認した基本的な安全性の評価結果などを取りまとめ、12月8日に国に報告しました。
 BWR燃料を用いて確認した評価結果については、現在取りまとめを行っており、年内には国へ報告したいと考えています。

 一方、再処理工場の今後の操業に必要となる各種建屋に係る「再処理施設の増設など」について、10月17日に青森県と六ヶ所村へ申し入れました。そして、安全性などについて県ならびに村にご検討をいただき、12月14日には県と村から、ご了解をいただきました。今後は準備が整い次第、国に対して事業の変更許可申請を行う予定です。
 なお、再処理工場の本格操業の時期についてですが、全体の工程が若干、遅れ気味なので、全体の工程・スケジュールについて精査を行いたいと考えています。その検討結果については、まとまり次第、皆さまにご報告をさせていただきます。

 次に、濃縮事業では、先月末にRE2−Aの系列が停止したことにより、現状の生産能力は年間 300トン(300トンSWU/年)となりました。一方、リプレースに向けて開発を進めている新型遠心機については、基本設計を終え、現在、国際的に見て遜色のない濃縮コストの実現を目指した開発の最終段階です。そして、プラントを模擬し、多数の遠心分離機を連結・接続して行う「カスケード試験」を来年度初頭から開始する予定です。
 また、12月19日には、リプレースの準備作業として、既設遠心機に付着しているウランを回収する装置の設置について、県と村へ申し入れました。
 いずれにしても、再処理事業、濃縮事業、埋設事業ともに、当社事業は国際的な注目を浴びており、最近、海外からも多くのお客さまを迎えています。また、今年9月に当社は、米国のGNEP構想の提案募集に応募しましたが、幅広く、当社の経験、ノウハウを活かし、この青森の地から世界に向けて、国際的な視野も踏まえた展開をしてまいりたい、と考えています。

以上

INDEX 一覧へ