日本原燃

2006年11月24日


定例社長記者懇談会挨拶概要


 私からは「アクティブ試験の第2ステップの進捗状況」と、「新型遠心機の開発状況」という2点について、申し上げます。

 最初は「アクティブ試験の第2ステップの進捗状況」についてです。先月27日からプルトニウム溶液をウラン・プルトニウム混合脱硝建屋に移送した後、ウラン溶液と1対1の割合で混合して脱硝を行い、今月2日にはウラン・プルトニウム混合酸化物の生成を開始しました。その後、熱を加えて乾燥させ、粉砕などの処理をし、細かく均質な製品粉末に加工、今月16日からは、それをアルミ合金製の缶に詰めて混合酸化物貯蔵建屋へ運び、厳格な管理のもと、貯蔵を開始しています。資源小国のわが国において念願の準国産エネルギーの生産を、この青森の地で開始しました。使用済燃料の中に残っている有用な資源を、本格的に再利用する方向として、全く新しい扉を開いたわけであり、その持つ意味合いは非常に重いものがある、と考えています。当社としては、今後もIAEAとの協定に基づいて、フルスコープの保障措置、査察を受け入れ、高い核不拡散性と透明性を確保・維持しながらサイクル事業に取り組むことにより、エネルギー資源問題や地球環境問題への対応面で、ぜひお役に立ちたい、と決意を新たにした次第です。第2ステップの全体的な進捗は、若干、遅れ気味です。今回初めて実施したBWR燃料のせん断についても、15日から20日の間に、予定していた57体を終了し、第2ステップにおけるせん断作業は、全て終了しました。同時にPWR燃料とBWR燃料の両方に対して、十分なせん断能力を当工場が有することを確認できた訳であり、その点も大きな意味を持つ、と考えています。私どもは安全性能などを確認する重要な正念場にある、という認識の下、今後も慎重かつ着実に試験に取り組んでまいる所存です。

 次に「新型遠心機の開発状況」についてです。
 当社の濃縮事業は、14年前の平成4年に運転を開始しています。濃縮プラントの長期にわたる運用について、私どもの基本的考え方は、「遠心分離機は経年に伴って徐々に停止台数が増加し、生産性が低下していくものなので、工場全体の生産性と、電力各社から受注する濃縮度の見通しなどを総合的に勘案し、ユニットごとに停止時期を検討するとともに、停止した遠心分離機については、一層、性能の良い遠心分離機を開発し、順次それに取り替えていく」というものです。現在、稼動しているものの中では、「RE‐2A」ユニットについて、その停止時期を社内で検討しているところであり、具体的な停止の際には皆さまに改めてお知らせします。後継機となる新型遠心機については2000年度から、国内の技術者を結集して、より高性能の遠心分離機の開発に取り組み、今年2月には、遠心機単体としての最終仕様を決定しました。現在、開発の最終段階である「カスケード試験」のための遠心分離機の製作、機器の据付工事などの準備を進めるとともに、国際的に見て遜色のない濃縮コストの実現を目指して、量産技術の確立などの諸課題に取り組んでいるところです。「カスケード」とは、プラントを模擬し、多数の遠心分離機を連結・接続して効率よく運転を行なえる状態にした設備のことです。実プラントの運転性能・特性を確認することが「カスケード試験」の目的であり、重要な試験なので慎重に準備の上、来年度初頭から開始したいと考えています。その後は、カスケード試験等の結果を踏まえ、2010年度頃を目途に新型遠心機による生産を開始する計画です。さらに、新型遠心機の長期信頼性向上のために稼動実績を蓄積して、そのデータや知見を確実に実プラントへフィードバックしながら、段階的に規模を拡大、10年程度をかけて、1500tSWU/年規模を達成することを目指します。この新型遠心機の導入にあたっては、濃縮事業を継続する観点から、リプレース方式を考えており、現在の遠心分離機を撤去した場所に新型機を設置し、設備・建物などで引き続き利用できるものは利用していく方針です。そこで、既設設備の撤去の作業性向上などをはかるため、既設の遠心分離機内に付着しているウランを回収するための設備を工場内に新たに設置する計画を検討しています。

以上

INDEX 一覧へ