日本原燃

平成17年11月4日


定例社長記者懇談会挨拶概要

 本日は、これまでのウラン試験の結果およびガラス固化体貯蔵建屋等の改造工事の状況などについて説明させていただきます。

 これまでのウラン試験については、先般、建屋統合試験までの結果を「ウラン試験報告書(その1)」として取りまとめました。
 全ての建屋を接続したうえでの負圧調整の確認など、今後予定している総合確認試験で実施するものを除き、再処理設備におけるウラン溶液等を用いたせん断・溶解、抽出など各系統における処理能力や特性、さらには安全性に関する機能について全て確認することができました。
 現在は、各建屋における各セル(小部屋)ごとの出入り口の閉止や仮設設備の撤去などを行うとともに、これまでの試験で発生した不適合等の処置や要領書・手順書等の充実・整備など総合確認試験に向けた準備とともに、これまでの試験を通して得られた経験や知見等を一人ひとりがしっかりと自らのものとして身に付け、ウラン試験の最終段階である総合確認試験に備えて、引き続き緊張感を持って取り組んでいきたいと考えています。

  「高レベル廃液ガラス固化建屋」および「第1ガラス固化体貯蔵建屋・東棟」については、既にお知らせしたとおり、先月18日、国から両建屋についての設工認変更の認可をいただき、同日、改造工事を開始しました。
 工期については、前回、2〜3か月程度を見込んでいるとお話ししましたが、工事の開始からまだ2週間余りしか経過していない現段階で明確にお話しすることは難しい状況です。
 しかし、現在の状況からは、これまで計画していた12月にアクティブ試験を開始することは難しい状況であると判断し、今後の工程について検討しているところです。
 いずれにしても、改造工事の工期およびアクティブ試験の開始時期については、まとまり次第速やかにお知らせしたいと考えています。

 先月、二つの国際会議に出席しましたので、これらの会議を通しての私の感想をお話しします。
 一つ目は、10月3日から札幌で開催された「日米欧3極電力首脳会議」についてです。この会議は2年に1回程度日米欧の電力首脳が一堂に集まり、幅広く意見交換を行う会議であり、今年の会議では化石燃料価格の高騰への対応をはじめ原子力政策、地球温暖化問題、電気事業を取り巻く諸課題等について多くの参加者と率直に意見や情報を交換することができ、相互に認識を深めることができました。
 特に今回の会議では、これまで原子力に対して厳しい国が多かった欧州において、原子力の必要性が再認識され始め、その方向に変化が出ていることを感じました。
 二つ目は、10月10日から、つくば市で開催された「グローバル2005国際会議」についてです。この会議には各国の原子力界の代表や研究者など約600人が参加しましたが、私も当社のサイクル事業の進捗状況や課題、展望等についてスピーチしました。
 会議では、アメリカから参加された方の「今、アメリカは原子力開発ではルネッサンス期を迎えている」との言葉に代表されるように、原子力発電所の新規建設を促す「新エネルギー法」の制定を始めとするアメリカにおける原子力の再活性化の動きが大変印象に残りました。
 もう一つ印象に残ったのは、中国における原子力開発の勢いです。
 中国には現在、9基約670万kWの原子力発電所がありますが、2050年までに2億4,000万kWへと急速に増加させていく計画とのことです。しかし、これを軽水炉だけで賄えば、ウラン資源の枯渇と価格の高騰を招くことが避けられないため、現在、高速増殖炉の実用化に向けた研究開発を進めていることを強調されていました。
 これら二つの国際会議を通して、世界的なエネルギー需給や温暖化などの環境問題が深刻化している中で、持続的な経済成長を達成していくためには、エネルギーとりわけ原子力の開発と平和利用が大変重要なファクターであることを再確認しました。

 私としては、しっかりと将来を見据え、わが国におけるサイクル事業を着実に進めていくことの意義と重要性、そしてその中で当社の果たすべき役割と責任の大きさを改めて認識するとともに、今後とも安全の確保を大前提に当社事業の着実な推進に向けて全力で取り組んでいく意を強くしました。


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