日本原燃

平成17年9月28日


定例社長記者懇談会挨拶概要

 本日は、ウラン試験の進捗状況およびこれまでの試験概要について、説明させていただきます。

 再処理工場において、昨年12月21日からウラン試験を開始いたしました。これまで「機器単体の試験」から各系統を統合して建屋全体としての運転性能や運転操作などを確認する「建屋統合試験」まで、当初計画していた試験項目について、ほぼ計画通り進んでまいりました。

 8月末現在におけるウラン試験の総合進捗率は約70%であり、9月に入ってからも順調に進み、9月20日にはそれぞれの建屋において予定していた試験を終了しました。

 「前処理建屋」では、103体の模擬ウラン燃料集合体をせん断し、溶解を行いました。
 これらの試験では、前処理建屋の主要機器であるせん断機と溶解槽の機能に問題がないことや、せん断片の溶解特性などを確認しました。

 「分離建屋」「精製建屋」では、ウラン溶液を用いてウランを分離・回収する性能や、機器の作動状況の確認などを行ってまいりました。これまでの試験で、ウラン・プルトニウムと核分裂生成物の分離・精製等を行うための重要な機器である「パルスカラム」や「ミキサセトラ」の性能に問題がないことを確認しました。また、建屋全体を対象として運転状況を確認する「建屋統合試験」を7月から8月にかけて実施しました。

 「ウラン脱硝建屋」「ウラン・プルトニウム混合脱硝建屋」では、ウラン粉末およびウラン溶液を用いて機器の性能試験や作動状況などを確認しました。
 なお、ウラン溶液を用いた試験開始直後の6月に、ウラン脱硝塔内でウラン粉末が詰まるという事象が発生しましたが、7月には脱硝塔の性能試験を再開しました。
 8月から今月上旬にかけて、建屋内の全ての系統を定格処理能力で運転する試験を実施し、問題のないことを確認しました。

 プール水漏えいがありましたBPピットにおけるバーナブルポイズン切断装置の試験についても、今月20日に終了し、それぞれの建屋で行うウラン試験が終了しました。

 このように、ウランを用いた建屋毎での各種試験を通して、主要機器や設備の性能・機能などを確認するという、ウラン試験の当初の主な目的を達成することができたと考えております。

 なお、現在は、セルの閉止や定期的な設備点検、これまで試験に用いてきた仮設備の撤去など、ウラン試験の最終段階として再処理工場全体の性能を確認する、総合確認試験に向けた準備作業を始めているところです。

 以上、再処理工場における試験概要を説明いたしましたが、これまでの試験を振り返って、私なりの感想をお話させていただきます。

 まず、ウラン試験を開始するにあたり、それまで十分に準備と訓練を行ってきたとはいえ、初めてウランを取り扱うことに対する緊張感に加え、設備が思った通りに動くのかという心配もありました。

 ウラン試験開始後も、とりわけ、せん断機の中で模擬ウラン燃料を置く位置を微妙に調整する操作や、ウラン濃縮缶をスムーズに起動させる手順などに苦労しました。
 また、いくつかの設備でトラブルがありましたが、これによって、少しずつではありますが、円滑に運転するためのノウハウ等を蓄積することができたと考えております。

 これらへの対応が、自分たちの設備をより詳しく知る契機となり、改良や改善につなげることができたのではないかと感じております。
 ウラン試験も後半になり、当社社員と協力会社の方々が一体となって、この再処理工場を「マイプラント」として、一歩一歩大切に育て上げようといった意識がより強くなってきたと実感しております。

 今後は、先週22日に補正を行った「高レベル廃液ガラス固化建屋」および「第一ガラス固化体貯蔵建屋・東棟」について認可をいただいた後、速やかに改造工事に取り組んでまいります。
 また、セルの閉止作業など、総合確認試験に入るための準備作業を行っていく予定ですが、気を緩めることなく、緊張感を持って取り組んでまいります。

 当社としては、今後とも安全を第一に、12月に予定しているアクティブ試験の開始に向けて、全力をあげて取り組んでまいる所存です。


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