日本原燃

平成17年5月30日


定例社長記者懇談会挨拶概要

 本日は再処理工場におけるウラン試験の進捗状況ならびに品質保証の取り組み状況などについて、お話をさせていただきます。

 

【ウラン試験の進捗状況について】(最新のウラン試験状況はこちらをご覧ください。)

 「前処理建屋」においては、操業状態を想定した連続運転により、処理能力の確認を行う建屋統合試験として、模擬ウラン燃料集合体のせん断・溶解を5月23日から開始しました。
本日までに、20体のPWR模擬ウラン燃料集合体を処理していますが、来月も継続して行っていく予定で、合計で24体、その後引き続きBWR模擬ウラン燃料集合体37体を処理する予定です。
  「分離建屋」ならびに「精製建屋」においては、これまで「ミキサセトラ」や「パルスカラム」といった主要機器単体の試験を実施していますが、「分離建屋」では、これらの機器を組み合わせた系統包括試験を昨日から開始しました。また、「精製建屋」でも6月より、同様の系統包括試験を実施する予定です。
  「ウラン脱硝建屋」においては、霧状のウラン溶液に熱を加えてウラン粉末を製造する「脱硝塔」の第一ステップの試験として、空気やウラン粉末を使用して実施しています。
  来月からは、ウラン溶液を脱硝塔へ移送する前に、ウラン溶液に熱を加えて濃度を調整する「濃縮缶」の試験を開始する予定です。
  「ウラン・プルトニウム混合脱硝建屋」においては、ウランとプルトニウムの混合溶液にマイクロ波を照射して加熱し、MOX粉末を製造する「脱硝装置」などの主要機器の試験を、ウラン溶液を使って先月中旬から継続して実施しています。
  試験項目を単位とする総合進捗率は、4月末現在で約27%となっています。
  ちなみに、2割程度を占める総合確認試験を除いてカウントすると、今月末でおおよそ4割程度の進捗と見込まれます。
  なお、ウラン試験の実施状況については、当社ホームページで、日々の試験運転状況を建屋ごとにお知らせしていますが、先週より新たに、主な試験の実施状況と今後の予定についても、一週間単位でとりまとめてお知らせするページを加えました。

 

品質保証の取り組み状況について】

  本日から6月下旬までの予定で、昨年度に引き続き、第三者外部監査としてロイド・レジスター・ジャパンによる、第3回目の定期監査を実施します。
  今回の監査では、再処理、濃縮、埋設の全事業部および全社共通部門の各担当室を対象に、当社の品質保証活動が、品質保証体制の改善策を反映した規定文書類に基づき、適切に実施されているかについて監査を受けます。
  監査結果については、監査終了後、取りまとまり次第、ホームページ等でお知らせします。

 

【BNFL社再処理工場ソープにおける漏えいについて】

 BNFL社では、5月27日に概要を公表しましたが、それによりますと、4月18日にソープ内で異常を検知したため、通常運転を一時的に停止することを決定。翌19日に清澄液供給セル内で清澄機から計量槽への配管の破損をカメラで発見し、約83 m3の放射性溶液の漏えいを確認したとのことです。
  このセルは、ステンレス鋼製のライニング(内張り)がなされており、漏えい液はセル内に閉じ込められているため、大気中の異常放射能は観測されておらず、環境や従業員への影響は無いとのことです。現在、漏えい液の回収が進められており、あと4週間ほどで回収作業が終了するとのことです。
  原因は、計量槽に接続している配管が、金属疲労で破損したためであることがわかりました。
  この計量槽は、槽内の溶液の重量を計測するために、セルの天井から吊り下げられており、この槽に接続している配管に力が働き、金属疲労を起こして破損に至ったとのことです。
  当社再処理工場における同様の設備は、清澄機で不溶解残渣を除去した後の溶解液を取り扱う計量・調整槽に相当するものと考えられますが、当社の設備は、吊り下げるタイプの貯槽ではなく据置きタイプなので、同様の事象が起きることはないものと考えています。(本件に係る別添「六ヶ所再処理工場における対応」を参照)
  当社としては、今後とも本件に関する情報の収集に努め、当社再処理工場に水平展開する必要事項があれば、適切に対処してまいります。

 

 最後になりますが、これまでのところウラン試験は、工程に影響を与えるような大きなトラブルもなく進んでいますが、今後とも協力会社と一体となって緊張感を持って、安全を最優先に着実に進めていくとともに、積極的かつわかりやすい情報の公開に努めてまいります。


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