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遠心分離機・カスケードとは

2016年2月18日更新

遠心分離機とは

遠心分離機は脱水機の原理と同じで、内部では回転胴が超高速で回転しており、内部に注入された六フッ化ウランガスは、重力の何千倍もの強さの遠心力によって回転胴に押し付けられます。このとき重いウラン238の割合が高い六フッ化ウランが外側に押され、外側で238の割合が高くなり、軽いウラン235の割合が高い六フッ化ウランが中心部に集まり、中心部で235の割合が高くなります。そして中心部から六フッ化ウランガスを抜き取ることにより、濃縮ウランが得られます。

遠心分離機のしくみ

遠心分離機によるウラン濃縮の歴史

わが国における遠心分離機によるウラン濃縮の歴史は、古くは、1959(S34)年に理化学研究所が1号遠心機を試作し、基礎研究に着手したことに始まります。

その後、国の方針に従い、原子燃料公社(現:日本原子力研究開発機構)が、中心となってその開発を進め、1969(S44)年に初めて濃縮ウランの回収に成功しました。

1972(S47)年には、原子力委員会が、遠心分離法をナショナルプロジェクトに指定し、遠心分離法によるウラン濃縮の本格開発が始まりました。

国は、人形峠において1976(S51)年にパイロットプラントの建設を、1982(S57)年には原型プラントの建設を決定しました。1988(S63)年には、100トンSWU/年の原型プラントの運転を開始し、翌1989(H1)年には、さらに100トンSWU/年の運転を開始しました。

一方、電気事業連合会は1981(S56)年にウラン濃縮準備室を設立し、商用化を進めウラン濃縮事業を行う会社として、1985(S60)年に日本原燃産業株式会社(1992(H4)年7月に日本原燃サービス株式会社と合併し日本原燃株式会社となる)が発足しました。1992(H4)年3月には六ヶ所村において、150トンSWU/年のわが国初めての商業プラントが操業を開始しました。

カスケードとは

1台の遠心分離機によって濃縮される度合は、一般的にはごくわずかであり、必要な濃縮度を得るためには何回も処理を繰り返す必要があります。このために複数の遠心分離機を連結して効率よく運転を行う設備が必要であり、これをカスケードといいます。

カスケードの仕組み

カスケードは、直列に接続されたいくつかの段から構成されており、六フッ化ウランガスが各段を通過するたびに濃縮度が高くなります。それぞれの段には、処理する流量に応じた台数の遠心分離機が並列に接続されています。ある段でウラン235の割合が増加したガスは、さらに濃縮するため、次の上位段へ供給されます。一方、ウラン235の割合が減少した六フッ化ウランガスは、さらに無駄なく利用するために、下位段に再び供給されます。

各段の供給の流れには、下位段からのウラン235の割合が増加した六フッ化ウランガスと、上位段からのウラン235の割合が減少した六フッ化ウランガスが、合流しているため、異なる濃度の混合による無駄がなるべく起こらないように、遠心分離機の特性、台数等を設定することが重要です。

ウラン濃縮の工程(遠心分離法)